2014/05/11

Cinema Review: Neighbors


Neighbors (2014) imdb 予告編

バンクーバー出身超人気コメディ俳優のセス・ローゲン主演最新作。監督は『寝取られ男のラブ♂バカンス』『伝説のロックスター再生計画!』『憧れのウェディング・ベル』のニコラス・ストーラー!超楽しみにしていたので封切り日に張りきって観て来ました。週末をスタートするのにピッタリなパーティー映画。

ハッパ大好きなダメ若者役でおなじみのセスが今回はサラリーマンのパパ役。愛する妻、乳幼児の娘と共に閑静な住宅街に暮らすが、ある日突然真隣に引っ越してきたのはフラタニティだった!24時間365日態勢で爆音パーティを繰り広げるリア充大学生集団から家族を守るため立ち向かう夫婦軍は、フレンドリーに接してみたり、仲間割れを狙って作戦を立てたり、パーティを荒らしたりと奮闘する。警察なんか信じねえ、大人をナメるでねえ!しかしフラタニティ軍は若い発想と抜群のチームワークでビクともしない。隣人=Neighbors大戦争の火蓋は切って落とされた。



フラタニティ=友愛会というのは日本にない制度なので簡単に説明しておくと、大学の男子学生寮とオールラウンドサークルが一緒になったようなもの(同じコンセプトの女子版はソロリティと呼ばれる)。デルタ、オメガといったギリシャ語の名前がついており、フラットメイトは実の兄弟のように固い絆で結ばれる。名門フラタニティに入れば上級生の強力なコネにより卒業後の進路はカタく、そのため女にもモテまくりだが、入会するには既にコネや卓越したルックスが必要。独自のコールがあったりゲームを発明したり、代々受け継がれる飲み会文化は日本の大学サークルと全く同じノリだ。このへんは負け組フラタニティが名門フラタニティをやっつける超名作『アニマル・ハウス』を参照されたい。Neighborsに出てくるのは欲望のまま青春を謳歌する超ナンパなフラタニティ。マリファナ、ドラッグ、テキーラにビデオゲーム、頭カラッポ金髪ギャルが入り浸りやりたい放題。会長は最近見かけないと思ったらドラッグのリハブに行っていた『ハイスクール・ミュージカル』のアイドル俳優ザック・エフロン、副会長はジェームズ・フランコの実弟デーブ・フランコ。巨根(という設定)のメンバーに'マクラビン'ことクリストファー・ミンツ=プラッセ!ブロマンスコメディとフラタニティはホモソーシャル的な意味で相性抜群で、チンコネタ満載。R18指定なので容赦なし。

セスの嫁役はオーストラリア訛りがチャーミングなローズ・バーン(『ブライズメイズ』『伝説のロックスター再生計画!』)、夫婦軍に参戦するパーティ好きの友人役に『スーパーバッド 童貞ウォーズ』で生理だったカーラ・ガーロ、大学理事長役にリサ・クドロー、さらにチョイ出のJorma TacconeAndy Sambergとコメディ界のスターが勢ぞろい。しかし何といっても本作のMVPはこの方々でしょう。ステラ役のElise Vargasちゃん、Zoey Vargasちゃん!



本っ当に涙が出るほどかわいくて、劇場が一体となり「うほぉーん…」と変なため息を漏らしていました。エンドクレジットで気づいたんだけど双子ちゃんなのね。こんな天使がおうちにいたらどんなに幸せだろう…。だけど子育て経験のある人だったらきっと「かわいいだけじゃない。大変なことのほうが多いくらいだ」って言うんじゃないかな。子供ができたら夫婦の時間も友達との時間も夜遊びも我慢しなくちゃならない。大学で知り合って結婚した主人公の新米パパママは未だに少しパーティに未練があり、ハメを外して暴れまくる隣人の若者たちが正直羨ましくなったりもする。一方、遊んでばかりなので当然卒業後の未来は暗い寮キャプテンは夫婦を見て「大人になるってなんて退屈なことなんだろう」と絶望する。彼だけじゃない、みんなこの瞬間は永遠じゃないと気づいている。だからこそ今日パーティしなくちゃ。しかし最後にセス・ローゲンパパが出した「僕ら家族がパーティなんだ。僕が絶対逃さず参加したいパーティはこれだけだ」という答えは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の「俺の人生はつまらなくなんかない!家族がいる幸せをあんたたちにも分けてあげたいくらいだぜ!」by野原ひろしに通じる感動的なオヤジ賛歌だった。大人になることは決してつまらないことなんかじゃない。いつだって変わることは少しこわいけれど、変わるしあわせの形にあわせてしなやかに生きることを、つまり成長と呼ぶらしい。若さに乾杯、成長に乾杯。パーティ・マスト・ゴー・オン!

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