バンクーバー在住6年目、世界を股にかけるフリーターちひろうさぎの日記と映画レビュー。

2017/06/15

カナダで就活③-2 銀行の就活(後編)

前回までのお話はこちら→

Late Bloomer 30歳からの就職活動

カナダで就活①就活はひとりじゃできない

カナダで就活②就職しました  

カナダで就活③-1 銀行の就活(前編)



戦歴

応募総数: 5社
書類審査通過: 3社
一次面接(電話)を受けた回数: 3件
Web審査を受けた回数: 2件
二次面接(対面)を受けた回数: 2件
ジョブオファー: 1件

大手銀行の採用プロセスは似すぎていてというか全く同じシステムを使っているので、面接の形式や質問内容までほぼ同じ。どうでもいいところから腕試しして本命の本番に備えるといいと思います。まあ実際入社した待遇もほとんど変わらないんだけど。ルームメイトの強力なコネがあって結局そこで働くことになったけど、滑り止めと思ってあちこち受けた。実際そのコネのところが一番最後に面接することになったので、滑り止め二件が練習になった。

銀行のテラー(窓口係)は店舗数が多い上に入れ替わりが激しいので常に求人している。ポジションは正式にはCustomer Service Representative(CSR)などと呼ばれることが多い。採用過程を通じてとにかくcustomer service, sales, そしてcash handling and cash balancing経験をゴリ推しすること。コンビニやファストフードでバイトしたことあるよね?「いらっしゃいませ」「ポテトも一緒にいかがですか」と言わされたことあるよね?シフト終わりにレジ上げをしたことあるよね?それは立派なスキルです。


書類審査

テラーポジションについてはジョブフェアに参加したり、飲食店のように直接支店に出向いてレジュメをドロップする人もいるようだけど、一番簡単なのは銀行のWebサイトに行ってcareerページに登録することだ。一度プロフィールを登録してしまえば同じ銀行内の複数の求人に簡単に応募できるし、アラート設定をしておけば求人広告が出次第メールでお知らせしてくれる。特定の支店で募集している場合と、バンクーバー近郊といったざっくりエリアで募集している場合がある。レジュメとカバーレターはPDFでアップするのが基本。 ファイル名はChihiro_Okuyama_Resume.pdfみたいなかんじで、bank_resumeとかジェネラルなのはNG。支店ごとの募集の場合カバーレターのsalutationは前回も書いたが出来る限りリサーチをしてカスタマイズ。支店情報のページにブランチマネージャーの氏名を掲載している銀行もある。どうしてもわからない場合のみDear Hiring Managerで。

オンライン応募の場合はレジュメとカバーレターの他にいろいろ個人情報を登録する。ここですでに紹介者の名前を書く欄があるくらいなのでコネで入社する人は多いのだろう。CSRは最初はpart timeで募集してトレーニング後full timeに移行できる場合がほとんど。希望スケジュールの質問が出てきたら本当はfullで働きたくても募集の条件に合わせてpart timeにチェックしておく。前回書いたように応募書類はコンピューターでまずふるいにかけられ、後は人事の人間が確認する。一次面接の連絡はメールか電話で、割とすぐ来た。3、4日くらいから最長でも一週間くらい?コネの分は公式サイトからではなく紹介者のビジネスメールアドレスに直接連絡して、彼女からもすぐに電話があった。どこも明日(平日)に電話面接できるかな?みたいな感じで急いでいる様子だった。人事部は土日は休みだろうから、他の仕事や学校のかたわら就活してる人にそんな急なスケジュール無理だよなあ…。


一次面接

一次はどこも30分程度の電話面接。もともと日本語でも英語でも電話に苦手意識があるのでめちゃ緊張した。ただし電話なのでパジャマで家のベッドの上で寝っ転がって面接できて、しかもアンチョコ見放題。全く自信が無かったのでありがちな質問を10個だか20個だか選んで解答全文をWordに書いて、質問されたらすぐに検索できるように付箋を貼っておき読み上げるという作戦に出た笑。それでも緊張で手が震えた。電話の相手は人事部のオペレーターで、これをパスできれば支店長との面接をセッティングしてくれるという流れ。話しながらオペレーターがカタカタとパソコンに解答を入力しているのが聞こえる。オペレーターは普通は協力的で、ちょっとくらい言葉に詰まっても補足・要約して適当にいい感じの文章にしておいてくれる。後からわかったことだがこの入力した内容が二次面接の相手(支店スタッフ)にもシェアされていて、全く同じ質問は二次面接では基本的には聞かれない。

「ありがちな質問」というのはGlassdoorに載っている。実際に面接を受けた受験者が詳しくリポートを残していて、掲載前に運営のチェックが入るので信頼できるサイト。CSRはentry levelのポジションなので極端に難しい質問は出ない。というか決まったリスト以外の質問をしてはいけないといった様子だった(公平を期すためか)。内容はおおまかに①自分に関する質問②behavioral questionsの二種類。最初はまず勤務地やスケジュールの希望、「カナダで合法的に働けるビザがあるか」「犯罪を犯したことがあるか」「家族に銀行で働いている者がいるか」「給料はいくら欲しいか」など事務的な質問が続く。それからレジュメの内容について簡単な確認があるのでコピーを手元に置いておく。特に過去5年間の職歴は詳細をメモしておいて聞かれたらすぐ答えられるように。ここまでは簡単だけど、いよいよ面接らしくなるのは②のbehavioral questions。これは特定の状況を想定して自分が取りうる行動、過去に似たような状況があれば自分が取った行動、を具体的な例を挙げて答えるというもの。これを5個くらいかそれ以上?聞かれた。たとえばこんなの→Top 10 Behavioral Interview Questions and Answers これは全部準備できていて当たり前。The STAR (Situation, Task, Action, Result) formatという公式は絶対に知っておきたい。




ちなみに面接で120%聞かれる定番質問の"So, tell me about yourself"と"What do you know about our company"は聞かれませんでした。でも一応準備はしておいたほうがいいね。他の質問に答える軸となるし。

一次の電話面接は三つ受けて全部通りました。これはあくまで「スクリーニング」なので、そんなにハードルは高くないっぽい。

Web審査

電話面接の前後に三社中二社あった。メールに添付されたアドレスに飛ぶとやたらよくできた独自のソフトウェアで適正を審査される。ロールプレイ的な内容でほとんど常識の範囲内で答えられ、二社とも適当な解答でも通ったとはいえとにかくめんどくさい。インターネットの接続が良好な場所で時間の余裕があるときに落ち着いて受験すること。


最終面接

電話面接の直後に最終面接を受けて下さいと連絡があった。本当にみんな急いでるんだな。しかも三社中一社はなんと最終面接も電話と言われた。ということは一切顔を見ずに採用しちゃうってことだよね?それどうなの?「どうもー」って出勤してきて顔面ピアスだらけのタトゥーまみれのモヒカンヘアだったらどうすんだろう。まあそれはいいとしてこの銀行は不採用になった。まず、電話口の人事がきついインド訛り。でた!!!なんでわたしはいつも大事な時にインド人に当たるのか?!(→IELTSの面接官がインド人で何言ってるかわからないの巻参考)それに一次電話面接の時間を決める時にメールでもらっていたシフト案がいつのまにか変わっていたこと(毎週土曜は必ず出勤なんて聞いてない)、それに突っ込んだのにごまかされたこと、ていうか全体的に態度が悪かったこともありわたしのほうも萎えまくっていた。まあ一応練習と思って話を続けたけど冒頭の過去五年の職歴についての質問で「正確には何月から何月まで働いたんですか?」と聞かれ「えーといつだっけ?」と口ごもっただけなのに、「もう結構です」と勝手に電話を切られた。感じ悪!!もう二度とここの銀行には関わらん。人事のイメージって大事だよね。

レジュメの職歴欄には採用から退職まで、月も書く場合と西暦しか書かない場合がある。主にスペースを節約する目的で月は省略可ですが、信用が命の銀行ではけっこう大事になるので(この後も何回も聞かれた)、書いておいたほうがいいみたい。この電話のあと速攻書き出して次に備えました。あと、辞めた理由も聞かれる。わたしの場合は「ビザ切れ」「フランチャイズのオーナーがビジネスやめた」と不可抗力だったので簡単でした。直近の仕事については「今までに培った接客スキルで新しいことに挑戦したかったから辞めた」と答えた。これも後から何度も聞かれる上に、採用直前のバックグラウンドチェックで前の職場に連絡がいくので嘘つくとヤバイです。

というわけで直接支店で面接することになったのは二社。しかも二日連続。電話面接から数日あったんですが緊張レベルはマックスに達し地獄のようだった。実際の面接ではカンペ丸読みというわけにはいかないので仕方なくカンペ丸暗記作戦に切り替える。面接でぺらぺらとアドリブ加えてフリートークするほどの英語力なんかないよ!というか普段かなりsarcasticな話し方してるんだなと実感した。本音を話したら間違いなく落ちる。カンペ片手に朝から晩まで壁に向かって話し続けた。I have 15 years of experience in customer service, I have 15 years of experience in customer service, I have 15 years of experience in customer service....こんな簡単なことが緊張するとどうしても出てこない。口がうまく回らず言葉に詰まってしまう。WorkBCのワークショップで教わったように、「まるで自分の電話番号を言うようにスラスラと話せるまで何度でも練習」した。壊れたレコードプレイヤーのように話し続ける。話せば話すほどゲシュタルト崩壊というか、もう何がなんだかわからなくなって本当に苦しく惨めな時間であった…。なんていうか、わたしはネイティブスピーカーではないし、いくら勉強したって一生ネイティブスピーカーにはなれないんだなと改めて実感した。銀行テラーはとくにトークスキルが求められる仕事で、ネイティブと同じ土俵で戦うのはほとんど不可能のように見えた。でも、やるんだよ!絶対にこのチャンスを無駄にしたくない。

面接直前に偶然見つけたこの動画→ Amy Cuddy: Your body language may shape who you are
前半は実践的とはいえ「まあそうだろうね」といった内容で関心しなかったのだが、終盤のI'm not supposed to be here,とたたみかけるところで思わず泣いたね…。fake it until you become it. 新しいことに挑戦するのにビビってる人に是非見てほしいです。昔から「わたしはこういうタイプじゃない。向いてないから仕方ない」と何事もやる前から諦めがちだったけど、カナダに来てからは「できないんじゃない。今はまだ慣れてないから下手なだけ」と考えるようにしている。今回の就活だって最初は求人を眺めてる時点で心が折れかけたけど、そのうち慣れると信じて努力し続けた結果最終面接までたどり着くことができた。わたしにできないことなんかない。今までだって、なんとかやってきたじゃないか。



面接当日はまだ髪がブルーのままだったので(採用決まってから結局染めた)ebayで買った黒髪のウィッグを被って出陣。フォーマル服はNPO団体Dress for Successが無償で提供してくれました。この話はまた詳しく書こう。

最終面接は二社ともほぼ同じ流れでした。30分から45分くらいのトークで、相手は支店長(メインの話し手)とその補佐(メモを取ったり追加の質問をする)の2人。みんな接客のプロだけあってめちゃくちゃフレンドリーで話しやすいです。笑顔、アイコンタクト、力強い握手は忘れずに。質問の内容は電話面接の解答がシェアされていてそこに少し補足といったかんじ。電話面接では聞かれなかった「我が社について何を知ってますか?なんで我が社を志望したんですか?」をズバリ聞かれた。これは完璧に答えられたけど「はい予習してくれたんですね、ありがとう」と適当に流された。あとはスケジュールの話が大半と、ぶっちゃけこういうイヤなこともする(クレーム処理とか)仕事ですけど大丈夫そうですかね?みたいなネガティブな面も説明される。追加のbehavioral questionsも2、3問。結局採用に至った銀行の方は今思えばまあ形式だけの面接だったのかもしれないけど、話してる最中から「まああなたは大丈夫そうだよね」みたいなムードだった。これはどんな形式の面接にも共通ですが最後の「何か質問ありますか?」には絶対に答えられないとダメ。電話面接と違ってカンペは使用不可ですが質問したいこと、アピールしたいことの短いメモくらいは持ち込んでもいいでしょう。話しながらメモを取るのも印象いいと思う。念のため自分のレジュメのコピー数枚と、面接する住所や面接予定の相手の名前を書いたものと一緒にバインダーに挟んで持っていきました。カナダの接客の基本はいちいち相手の名前を呼ぶこと。これは意識した。

面接後は両社とも「他に候補者がいるので採用の場合今週中にも連絡します」と帰された。面接の後はかならず「お忙しい中わたしとの面接に時間をとっていただきありがとうございました」とサンキューレター(メール)を出しましょう。ネットでいくらでもテンプレが見つかる。WorkBCの先生はちょっとオバチャンなので手書きが一番!翌日会社を訪ねて受付嬢に短いグリーティングカードを預けるの!と言っていたけど現代ではメールが一般的なんじゃないかな?だから別れ際に必ず名刺をもらうこと。採用された方の銀行は名刺にメールアドレスが書いてなくて、うまく送れなかったので手書きでカードを書いていたら!ちょうど書き終わったところで「あなたのこと気に入った。採用したい」との電話がありました。つまり即日採用。もう一社は一週間後くらいに不採用の留守電が入っていた。こちらでは不採用でも連絡がない場合がほとんどな気がするので逆に親切だなと思ったね。

事前に噂は聞いていたので覚悟はしていたけど、銀行は内定が決まってから詳細なバックグラウンドチェック(身辺調査)があります。カナダと日本の犯罪歴や、過去三つの職場に連絡が行き根掘り葉掘りわたしが安全な人間かどうかを調査される。カナダに来てちょうど三つ仕事して、どこも大嫌いだったけど一応いい子にしておいてよかった…。この調査に、外国人なせいもあり1ヶ月くらいはかかった。6月頭にやーーーっと勤務開始で、毎日バリバリにスーツを着て研修を受けています。



バンクーバーはオフィスの仕事であっても基本的にドレスコードがユルいんですが、法律と銀行が一番厳しい。ジャケットにペンシルスカートかドレスパンツ、つま先のあいていない靴さえ着用すればトップスは少しくらい遊んでもいいようだがわたしは考えるのも面倒なので襟付きのシャツを着ている。ストッキングはカナダで買えるものはとても高く品質が悪いので日本の楽天から海外配送してもらった。座り仕事なので靴は超ハイヒールのパンプス。安いやつなのですぐ疲れる、ああルブタン欲しいなあ。問題の髪は毛先に少し青と紫を残してあとは黒く染めました。夜会巻にしたりポニーテールにしたり。アイラインはハネすぎず、代わりに真紅のリップをアクセントに。ケイトスペードの黒い鞄は少し高かったけど自分への就職祝いに買っちゃった。高層ビルの隙間をカツカツ闊歩するわたしはかっこいいです!

スーツを着ている同級生を見て「ああならないように生きていきたい」と思ったのが7年前。ずっと先延ばしにしていたのに急に大人になっちゃった。この背伸びいつまで続くんだろう。どんな髪色でも何を着ていてもわたしはわたしでいたい。今ならそれができる気がする。