バンクーバー在住6年目、世界を股にかけるフリーターちひろうさぎの日記と映画レビュー。

2017/03/25

Late Bloomer 30歳からの就職活動

永住権が出たので職業制限が解除され、大嫌いだったファストフードの仕事を退職した。スッキリ!現在は就活に専念しております。

15歳の時からずっと仕事をしてきた。ファミレスとコンビニに始まり、スポーツ用品店の販売員に歯科助手、スパ受付、地元のレストラン、水商売。ラクそうなバイトならなんでもよかったけどラクな仕事なんかあるはずもない。賃金が発生する時点で立派なプロフェッショナルなのに日本ではフリーターと呼ばれてしまう。わたしは今年30歳で、いわゆる正社員になったことが一度もない。一応都内二流私大の法学部を卒業しているのだが、みんなが欲しがる新卒カードは捨てた。就職したくなかったわけじゃなくて就活をしたくなかった。だってみんな同じ服を着て、読まれもしない履歴書をなぜか手書きで書いて、面接で仕事に関係のない個人の人格を否定されたり大学の授業を休んで説明会に出たりするのって馬鹿みたいだし。(あのカルチャーはどう考えても異常なのになぜ反乱を起こさないんだろう?)在学中はいつも最前列に座って熱心に勉強して、卒業後は実家で親の脛をかじりつつ学生時代からのバイトを続け、就職しないわたしを面白がってくれた教授のお誘いで学部と院の聴講に通った。学費を払っていないのでもちろん学位は出ない。専攻は一切キャリアに役に立たない政治思想史。学生生活を延長して現実から目を逸していた、そんな折に東日本大震災が起こった。それをきっかけに「こんなふうに目的もなくダラダラ生きて、もし明日死んだら成仏できぬ」と思ってカナダに引っ越したもののファストフードしか仕事が見つからず、さらに永住権を取れるかわりにずっとファストフードで働く約束になってしまい…というのがこれまでのお話。最初はアパレル販売の仕事とか探してたんだけど、今思えば販売の仕事だったら永住権取れなかっただろうから採用されなくてよかったのかも。トラブルがあって一度は諦めて日本に帰ったのに奇跡的に就労ビザでカムバックできたのは最初に働いたバーガー屋で出会った元カレのツテだし、運命は不思議だ。

ワーホリビザが切れてからはずっとFood Counter Attendant(NOC6711)=ファストフード枠でしか仕事できないビザでした。転職も副業も禁止。同じ飲食業でもレストラン(着席するとサーバーが世話をしてくれる店や、お酒を出す店)とファストフード(カウンターで注文するセルフサービスの店)では全然違う。前者の場合チップを貰えるので給料がまず違う。時給は最低時給程度でもチップを現金で毎日貰えるので特にサーバーは下手なサラリーマンより稼いでるくらいだし、チップをはずんでもらえるようサービスを徹底的に極めている人も多い。それにレストランは完全分業なのでサーバーは皿洗いなんかしないし、汚れた皿も下げないし予約の電話も受けない。それぞれ専門の人がやる。一方ファストフード店では基本的にお客さんはチップを置く必要がない。給料は最低時給の$10.85(BC州、2017年3月現在。最近まで$10.25だった)で昇給は期待できない。それなのに仕込みも接客もレジも洗い物も掃除も毎週の棚卸しも全部やらなきゃいけなくて、いわゆるワンオペとかもある。カナダ人でこんな底辺仕事をやるのは高校生かマジで意識が低い層だけなので、仕事が出来ないだけじゃなくてすぐにサボったりバックれたりレジのお金を盗んだりとロクなことがない。それですっかり参っていたサンドイッチ屋のオーナーが日本にいたわたしを招いてくれたのであった。ビザがかかっている外国人は絶対に馬鹿なことはしないし、よく働くからね。

医者でも実業家でもないわたしを永住権にまで導いてくれたことには感謝はしているけど、もうファストフードには疲れた。というか飲食業界に疲れた。日本でもカナダでもなんでこんなにブラックなんだ…。どこの店にも必ずやたら張り切るスーパーバイトがいて、経営は給料に見合わない彼らの熱意に甘えて成り立っている。日本では飲食だろうが会社員だろうがどっちにしろブラックだと思うけど、カナダの会社員はどう考えてもホワイトで、時給だって$30とかそれ以上もらってる。平日のお昼のヨガなんか超混んでるんだよ、近所のOLが来るから。60分のヨガクラスに行けるほど長い昼休みってなんだ??それで電車が一番混むのが午後4時、5時。日本ではプレミアムフライデーなんて制度が始まったらしいけど金曜に早く上がるのなんてこっちでは当たり前だし。まだ外が明るいうちに仕事を終えたら友人や家族とのんびり過ごしたり、ジムに出かける人もいる。それに比べてわたしなんか朝から晩までほぼ座るヒマもなく走り回った後に彼氏に会う元気すらなかったし、とてもじゃないけどジムなんか行けなかった。とにかく早く家に帰って寝たい。BC州で人間が人間らしく生きるために必要な時給のボーダーライン(living wage)は$20と言われている。わたしは20代の大切な時間をその半額で大安売りしてきた。土曜も日曜も働いて、福利厚生なんかあるわけもない。

仕事ってなんだろう。もうこの際なんでもいい。ただ座って仕事がしたい。パソコンに向かって、コーヒー片手に仕事がしたい。仕事帰りにジムに行かないと身体がなまるような、座ってできる仕事がしたい。そう思い立って就活を始めました。日本の友達に比べたら10年くらい出遅れてしまったけどこの国では遅すぎることなんか何も無いさ。セビくんのパパやママだって50過ぎて「やっと自分のやりたいことが見えてきて将来がすごく楽しみ」と言っていた。彼のカレッジのクラスメイトだって子育て中のママや60代くらいの学生がいたし。仕事がキツイ時には今までサボってきた罰だと思ったこともあるけど、平均と違うペースで生きることって罰を受けるほどの罪なんだろうか?というかわたしはサボってなんかいない。いつだって真面目に働いてきた。

高校まではとにかく成績が良くて生徒会長までやった優等生で、高校はバイトと恋愛が忙しすぎて落ちこぼれだったけど2ヶ月くらいがんばったら大学に合格したし、大学では教授にモテたし、学校というシステムの中で「いい子」でいるのはわたしにとっては簡単なことだった。だけど卒業して所属がなくなったら一気にバランスを失ってしまった…。髪を派手に染めてるし服装も他の子と違うし、自分で言うのもナンだけど謎のカリスマオーラがあるから初対面の人はみんなわたしを美大生かアーティストかクリエイターだと思う(日加共通)。わたしのことをよく知っている人にもアンタはもうじき凄い有名になるとか散々言われてきたけど、そういう周囲の期待がずっと苦しかった。わたしは見た目はアバンギャルドでも中身は「いい子」を演じたいだけの、自分で考える力を身に着けられないまま大人になった自分のままなのに。早いうちに気づいてデザインとか美容業界に行ってればよかったんだけど、それこそ才能なんかない自分にがっかりしそうで挑戦できなかった。どうせデザインや美容のお給料も日本じゃコンビニのバイトくらい安いんだろうし。

周りに何と言われようとわたしはクリエイティブなタイプではないから、とりあえず地道に事務の仕事とかしようと思う。この「とりあえず」に乗っかるまでどれくらいの努力と時間がかかるかわからないけど…。やるしかないんでやります。というわけで次回の投稿からは具体的な就活日誌を公開します。

2017/03/04

永住権で可能になること

1月の半ばに永住権を取得し、3ヶ月くらいで自宅に郵送されますと説明されたPRカードが2月の終わりにもう届いた。わーい。今まではせいぜいtempolaly wokerだったのが正式にimmigrantになったという実感が湧く。将来的には単にCanadianと名乗れるようになるといいなあ。

マフラー取った直後で頭ボッサボサ(向かって左側)

永住権は市民権(国籍)とは違います。永住者にはカナダ人とほぼ同等の権利が与えられるとはいえ、投票を含む政治活動と国家機密に関わる公職に従事することができません。あと犯罪を犯した場合は強制的に国外退去になる場合があるます。国籍を取得するには6年間以上永住権を保持し、かつカナダに関するクイズで高得点をおさめないといけないらしい(マジで笑)。日本は二重国籍を認めていないのでカナダ国籍を取得することになったら日本国籍を放棄しなければいけません。そうすると「外国人」として日本に入国するのが面倒になったり日本で仕事をするのにビザが必要になったりするので現状は永住権に留めて日本国籍とカナダ永住権のいいとこどりをする日本人が多いらしい。まあそりゃそうか。

永住権を取る一番のメリットはビザの心配をしなくていいことだね。仕事や学校といった明確な目的に基づいた細かい条件・期限が全部失くなるのでどこで何時間働こうが学校に行こうが自由です。国内の引っ越しは何の問題もないし、やっぱり別の国に滞在したくなっても大丈夫。更新単位である5年間のうち2年間を途切れ途切れでもいいんでカナダ国内で過ごせばまたその先5年分も更新できます。今までビザがあってもヒヤヒヤしていた海外旅行が一気にラクになる。カナダの空港ではPRカードがあればカナダのパスポートがある人たちと一緒に並んで自動チェック機でサクっと入国できちゃいます。※COPR後PRカードが出るまでは旅行は我慢しましょう。

永住権が取れたらまずは、今まで外国人で登録していた「9」で始まるSIN (Social Insurance Number)を変える手続きをします。所得や税金関係を管理する番号だね。久しぶりのSinclare CentreにパスポートとCOPRを持って行って5分で完了。昔はプラスチックのSINカードが発行されてたんですが2014年に廃止になったのでただの紙切れを渡されるだけです。無くさないように!この新しいSINを雇用主に報告します。個人情報なので雇用主以外に教えることはないです。あと銀行にも一応連絡しておく。

わたしが永住権を取る上で楽しみだったことの一つが、MSP (Medical Service Plan=国民健康保険)のPremium Assistanceを受けられることです。年々値上がりして最近は月75ドル払っていたのだが、実はこれはカナダ人では外国人と大金持ちしか払っていない満額レートで、その他庶民は前年度の所得に応じて払える額を払っているのです。わたしのような貧乏人はカナダ人/永住者ならなんと月額無料。月額無料なのに診療も入院もタダっていったいどうなってるのかはわからないが、ありがたいので申し込んでおく。ちょうど所得を証明するT4(源泉徴収票)が出たので簡単な書類を書いて郵送しました。月々75ドル浮くと本当に助かる…。【訂正】MSPのPremium Assistanceは12ヶ月以上永住権か市民権を持ちつつBC州に居住した市民を対象に前年度の所得で計算、ということでわたしは来年までは全額払い続けなければいけないらしいです。ああぬか喜び…。それからビザの更新のときはただコピーを送っただけで済んだのですが、永住権を取った今回はPRカードを持ってICBC免許センターで更新して下さいとの手紙も来た。

Premium Assistanceの対象外でもビザの期限やSINが変わったらMSPにはかならず連絡しましょう。

さらに楽しみだったのは職業/語学研修!カナダに移民するのはわたしのようにすでに国内にいてムキになって永住権を取る者もいれば、家族や仕事の事情でなんとなくたどり着いてしまった人や難民もいるわけです。社会の新メンバーとして受け入れた以上はちゃんと生活して仕事して納税してもらわないとマズいので、カナダ政府がさまざまな無料サポートを用意しています。まず公用語の英語(フランス語)に不安がある人は無料で語学学校に通うことが出来ます。同時に住宅の探し方や銀行口座の開き方、医療機関の紹介なども行っているようです。外国から引っ越してきたばかりでもさみしくないようにコミュニティの交流イベントなんかもあります。immigrant settlement service (住んでいる地域) とかでググるといろいろ出るよ。バンクーバー公立図書館の掲示板もチェック。


現地での職歴もツテもないとなると仕事探しは簡単ではないけれど、それも強力バックアップがあるから心強い。今後詳しく書く予定ですがわたしはいま絶賛就活中で、政府が出資している職業訓練プログラムにお世話になっております。こちらではキャリアアップを目指して大学や短大に戻る社会人が多いですが、その学費も永住権があれば留学生料金ではなくカナダ人と同じ値段が適用され奨学金も組める。場合によってはトレーニングや資格取得の料金を政府が負担してくれることも。税金を納めているのがこんなに素晴らしい国だなんて幸せすぎる…面倒を見てもらっている分がんばって働かなければ。

永住権とはいわば自由になれる切符のようなものです。わたしにとっては過去5年を捧げてやっと手に入れた勲章でもあります。これを持ってCanadian dreamを叶えるんだ!