バンクーバー在住6年目、世界を股にかけるフリーターちひろうさぎの日記と映画レビュー。

2012/02/05

Enchantment Under the Sea


もう観た作品でも見逃していた作品でも、スクリーンで観る映画体験は特別。映画は小さい頃から割と好きだったけれど、レンタルビデオやなんならテレビで観れる作品をわざわざ高いお金を払って映画館で観るという発想はなかった。今は一度劇場で観てよかった作品は上映しているうちに何度でも行っておきたいと思う。お気に入りの作品がリバイバル上映されるなら少し足を伸ばしてでも観に行くよ。今は正直、おもしろいかどうかわからない新作よりも、おもしろいということがわかっている旧作を観に行きたいと少しだけ思う。映画ファン失格かしら。


日本で大手シネコンチェーンTOHOシネマズが午前10時の映画祭(通称朝10)をやっていてすごくいいと思ったけれど、その反面シネコンが名画座の役割を兼ねてしまうと名画座は役目がなくなってしまうという問題がある。ていうか朝10って学生ワンコイン料金を設けているけど学生は朝10時に劇場来れないよね。時に映画館は教室になるけれど、しょっちゅうは無理だ。それは不良だ。
まあ、それはともかくとして、昨年秋に朝10で上映された『バックトゥザフューチャー』を弟と一緒に観に行った。弟は本当に物心ついた頃からこの作品をオールタイムベストだと言っていたので迷わず彼を誘ったのだ。吹き替え台詞も完璧に諳んじている。いつか家で一緒にDVDを観ていたときに、デロリアンが最初に出てくるシーンで「みて…この鳥肌!」と言われて見たら本当にすごい鳥肌だった。彼はこの映画を100回観てもなおデロリアン登場に興奮して鳥肌を立てているのだった。1990年生まれの彼が知っているのは、しかしテレビモニターの中の『BTTF』だけだ。これは大スクリーンで見せたら大変なことになるぞとほくそ笑む姉。六本木TOHOの中でも一番大きい7番スクリーンでかかる日を狙った。
弟がどう感じたかはわからなかった。楽しんでもらえたならいいけれど。


それから約半年、姉はまたスクリーンで『BTTF』を観る機会に恵まれた。今度は一人、異国の地。一人も知り合いのいない街。カナダのシネコンを中心に企画されたFront Row Centre Events presents the Great Digital Film Festival 2012 というデジタルリマスター版名作上映シリーズ。日曜午後とはいえ、巨大スクリーンがほぼ満員になっているのを見た時点でけっこうグっときてしまった。この企画で上映される作品の予告編(すばらしいセレクション!)に続いて劇場スタッフによる挨拶。ポスターのプレゼントをかけた早押しクイズで一気にHOOOOOOOOと盛り上がる。クイズはこちら: What is the name of Marty Mcfly's band? (劇中で主人公マーティが所属するバンドの名前は?)答えはこちら(ドラッグして反転表示):【The Pinheads】わかりましたかな?お恥ずかしながらわたしわかりませんでした。弟ならポスターをゲットできたかも。


続いて短編ドキュメンタリーBack to the Future on Bushnell Avenue (John McDonald監督、2011)の上映。





ジョージ・マクフライが木に登ってpeeping tom(覗き見)していたところ、転落して車に跳ねられる現場。後に妻となるロレインと出会うきっかけになる、重要なシーン。ここはアメリカ カルフォルニア州ノースパサディナのBushnell Avenueというところで、BTTFファン巡礼の地となっているらしい。他にも『アダルト♂スクール OLD SCHOOL』(2003)『ゴースト・パパ Ghost Dad』(1990)『悲しみよさようならWelcome Home Roxy Carmichael 』(1990)などのロケ地でもあるそうです。世界中から訪れたBTTFオタクが目を輝かせ、映画の場面を再現してみせる様子、そしてそれに対するまわりの観客のリアクションを肌で感じ思わず熱いものがこみ上げてくる。ドキュメンタリーの中のファンの台詞「One movie can change one's life(一本の映画が人生を変えることがある)」を噛みしめつつ、本編へ。劇場は拍手喝采、再びHOOOOOOOOOOO!!!ジョージが「アッアッアッ…」と笑うところで大爆笑。いつも弟が真似していたのを思い出す。「1.21ジゴワット」って台詞はみんな声を出していた。上映後には、なんとスタンディングオベーション。何度観ても発見がある作品。完璧な脚本、絶妙な間、ユーモア、役者の表情、キャスティング、画の見せ方、テクニカラーの色彩。そんなことよりもっと大切なのは胸の高揚。わたしの高揚は、大切な誰かの、あるいは知らない誰かの高揚。地球の裏側で言葉も通じない人たちが同じ映画を観てドキドキしたり笑ったり泣いたりしている。映画は、まるで共通の友人のようだ。自分の幼馴染が、異国の地で出会った知らない誰かの幼馴染だったらビックリするでしょう?家でDVDで観ていたらもったいない。街へ出よう。5.99ドル(約460円)で人生は変わる。いつか映画に恩返しできたらいいと思う。

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