2022/08/03

バンクーバーで婦人科に行くの巻【改訂版】

2013年に書いた All adventurous women do. バンクーバーで婦人科に行くの巻 という記事が今も多く読まれ続けているのでここ9年で変わったことや知り得たことをアップデート版として書いてみようと思う。わたしはBC州の外に出たことがないのでBC州のことしかわかりません。

セクシュアルヘルスに限らず一般的にBC MSP(州保険)があれば病院は無料、処方薬や各種バースコントロールは有料。MSPが無かったら診察が実費になってしまうので高いよ!BC州に住んでいる人はMSPに加入するのが義務だけど、何らかの理由でMSPを(まだ)持っていない人、とにかくどこに行けばいいのかわからない人は非緊急医療相談ダイヤル8-1-1に電話するとHealthLink BCがオプションを教えてくれる(24時間対応、無料)。英語が不安な人はオペレーターにJapaneseと伝えれば通訳さんに繋いでくれるらしい。日本と違って歯科以外に<○○科>という専門の病院が無いので、どんな症状でも最初は総合クリニックでgeneral practitionersと呼ばれる一般医に診てもらい、必要があればspecialistsと呼ばれる専門医を紹介してもらうという流れです。

セクシュアルヘルス関連の相談は普通のクリニックでも十分対応できるけど、センシティブなトピックなので専門家にケアしてもらいたいと考える人はOpt Clinicに連絡してみるのがおすすめ。"Pro-choice, sex-positive, and confidential"の信頼できる機関です。どんなセクシュアリティやライフスタイルも大歓迎!昔日本の婦人科で最悪な気持ちにさせられた経験があるのでアプローチが違いすぎて衝撃的だった。プロフェッショナルすぎる。クリニックは予約制なのでClinic Finderで探してアポを取るか、電話相談もできる→Sex Sence。こちらは通訳サービスはなさそうだけどメールでも質問を受け付けている。

※記事のタイトルに<婦人科>と書いているので男性は読んでいないかもしれないけど、セクシュアルヘルス関連で特に男性特有の悩みがある人をサポートするHIMというコミュニティもあるよ。

文字だけだとさみしいので関係ない風景写真をどうぞ


低用量ピルの処方とパップテスト

カナダに来て初めて低用量ピルを使い始めて体質が劇的に変わった。まず10代後半から悩んでいたニキビが消滅した。生理痛とPMSはほぼ無くなり出血量が減った。一回の生理はだいたい4日間くらいで、いつ来るか正確に予想できるので予定も立てやすい。ピルの効果は個人差が大きいけど、ホルモンに振り回されてるな〜と感じる人や生理が辛すぎる人は一度検討してみるといいと思う。避妊効果はまあオマケみたいなものだ。

ピルの処方はどこのクリニックでもやってくれるはず。先に書いたとおり診察(処方)はMSPで全額カバーされ無料、薬だけ実費。最初の数年はOpt Clinicが薬価が安いと信じて通ってたんだけど、最寄りのロケーションが混みすぎて予約取れなくなったので近所のウォークインクリニックで処方箋をもらい→薬局でピル購入に切り替えてみたところジェネリック薬なら値段はほぼ変わらないことがわかった。コロナ以降はオンラインドクターサービスが急激に発達して今はTELUS Health MyCare(MSPで無料)を利用している。アプリをダウンロードしてお医者さんとビデオ通話し、処方箋は数分後には希望の薬局にFAXで送ってくれるので買いに行くだけ。TELUS Health Virtual Pharmacyとリンクさせれば無料配送も可能。薬価は薬局によってまちまちで、参考までにわたしはMirvala28(=Marvelonのジェネリック版)3ヶ月分3箱$39.72で購入しています、そこから勤務先の福利厚生が負担してくれる分を引くと実際払っているのは月あたり1ドルちょい。安!コスト重視の場合はあらかじめお医者さんにそう伝えること。

オンラインドクターはTELUS以外にも色々あって多分どれも同じじゃないかな?online doctorで検索してみて。TELUSは予約全然取れないように見えるけど予約枠は随時追加されるので時間帯を変えて何度もログインするといい。ピルのオンライン通販ならFelixが有名なんだけど診察料が$40もかかる。でも最大で1年分処方してくれるみたいだから逆にMSPがない人にとってはこのほうが安いと思う。

すでにピルを使っている人は「いつものお願い」と言って処方してもらうだけだけど、薬の種類に向き不向きがあるので自分に合ったものが見つかるまでひどい体調不良と戦う人もいる。IUDやインプラントなど他にも避妊方法はあるし、成人女性には定期的なパップテスト(子宮頸がん細胞診)(内診)が推奨されてるから、初診はやはりクリニックを訪れて相談したほうがいいと思う。パップテストを受けるにはウォークインやオンラインドクター経由で紹介してもらうか、クリニックに直接連絡をとってみて。MSPでカバーされ無料です。クリニックのリスト→BC Cancer Screening 

わたしも今年はパップ受けなくちゃ。いつもはOpt Clinicだったけどどうしようかな…前の家の近所だったVancouver Women's Hospitalロケーションの予約が一時期取りづらかっただけで最近はどうなってるのかわからない。あと他のロケーションはそれほど混んでなさそうだった。

他にセクシュアルヘルスに特化したクリニックで評判がいいのがBroadway city hall駅近くのWillow Clinic


STI(性感染症)の検査

性感染症の検査を受けることは断じて恥ずかしいことではない。責任感のある大人はかっこいいです。いろんな人とデートしたい時期は症状が無くても定期的に検査を受けるべきだし、新しくパートナーができた時は誘いあって受診できる健康な関係にしたいね。

症状がある場合はウォークインでさっさと検査してもらったほうがいいけど、定期検査ならGet Checked Online がおすすめ。オンラインで登録して事前に質問に答えておき、最寄りの提携ラボで血液、尿、喉の粘膜などのサンプルを採取する。アカウントを作るのに紹介コードが必要で、BCCDC (=BC Centre for Disease Control)で通るはず。検査はMSPの有無に関わらず誰でも無料。カナダでは性感染症に限らずいろんな検査の結果が「問題が見つかったら連絡します、連絡なかったらセーフだったと思ってください」というパターンが多くて心臓に悪いのだが、Get Checked Onlineは項目ごとにはっきりと陰性陽性を示してくれるのがいい。ログインすると過去の結果がアーカイブされているのでパートナーに見せて証明することもできる。定期的に「そろそろ検査してみませんか」というメールが届き、必要ないと思えば無視して大丈夫。予約、問診、結果閲覧がオンラインで完結するので電話が苦手な人(わたし)でも安心。ラボの検査技師は医者ではないので質問とか会話とか一切なく、Get Checked Onlineから転送された指示書にしたがって淡々とサンプルだけ取る。プライバシー保護のため名前ではなく番号で呼ばれる。特に変わったこともないのに定期検診の度に小話しないで済むから気が楽だけど、逆に相談したい事がある人はクリニックを受診したほうがいい。

カナダのreproductive rights

広すぎるカナダのBC州のことしか書けずにすみません。とはいえ他州にも同等のサービスは存在するはずなので検索してみて。FelixのFAQを読んでいて知ったんだけどオンタリオ州では2019年より25歳以下の若者および25歳以上の低所得の女性を対象に州保険制度OHIPがピルやIUDを全額カバーするようになったんですね。ススんでる!あと、もうひとつ書いておきたいのは緊急避妊薬はケベック州を除いた全国の薬局で簡単に購入できるということです(ケベック州では要処方箋)。薬局で買うと$40-$60くらいで、Opt Clinicだと$15らしい。

今年6月にお隣の国アメリカではRoe v. Wadeが覆り、女性のファンダメンタルな権利が奪い取られるさまを目撃しているわけですが、カナダでは全州でいかなる段階においても理由を問わず合法的に人工妊娠中絶を受けることができます。女性の生命と決断を尊重するこの国を誇りに思うとともに、アメリカで困難な状況に置かれているシスターたちのことをとても心配しております。

【2023年4月追記】
2023年4月1日からBC州でもMSP加入者を対象に一部の経口避妊用ピル、IUD、インプラント、そしてモーニングアフターピルが無料化されました!素晴らしい!詳細や対象商品のリストはこちら→BC PharmaCare - Free contraceptives 

1 comment:

みなみ said...

うわ、参考になりました!ありがとうございます。