カナダ監督協会の福利厚生で$2000の補助が出るというので、ついに念願のレーシック手術を受けてきた。ほぼこれ目当てでメンバーになったようなものだからな。実は去年一度相談に行ったんだけど、思ったより費用が高い上に当時勤めていた銀行の保険では$600しかカバーされず泣く泣く見送ったのであった。転職したところでこんな短期間で給料が大幅アップするとか、もっと良い福利厚生を受けられるなんて夢にも思わなかったな…。本当この1年で環境が劇的に変わった。
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前回と同じ大手クリニックLasik MDに連絡してみたところ、さんざん精密検査してもらったのに1年以上も時間が開いてしまったので検査しなおしとのこと。とはいえデータは残ってるので変化の可能性がある箇所だけ再検査で1時間くらいで終わった。要するに普通の視力検査みたいなのと、機械を覗き込んでビカビカ光を見させられるというようなものでした。最初のカウンセリングの時はこの他に瞳孔を強制的に開く目薬をさして目玉をめちゃくちゃ精密に診られて角膜の厚み?などを調べた。レーシックは向いている人とそうでない人がいて、日本でだけど実際向いてないと診断されて受けられなかった人を知っている。わたしの場合は手術は受けられるが視力が極端に悪いので料金が高くなると言われた。Lasik MDは「業界最安値保証!片目$490〜」を謳っているのだがこれは大して目が悪くない人が最もシンプルな手術を受けた時の参考料金なんだそうです、どうせそんなこったろうと思ったぜ。結局支払った総額は手術+フォローアップ検診3回で$3300と、目薬代$60(ユニオンの保険適用後の価格)。レシートを提出すると保険会社から$2000返金されるという仕組み。分割払いオプションもあるようです。
手術前のわたしの視力は0.1以下、コンタクトや瓶底眼鏡を使ってもまだろくに見えていない状態。ギンギンに見えるまで度数を上げてしまうと頭痛などの症状が出るため、日常生活でそんなに良く見えなくても別にいいですよね?とコンタクト屋にも眼鏡屋にも勧められたからである。仕事は肉体労働な上に炎天下や大雨にさらされる事も多く眼鏡だと不便なんだけど、長時間労働でもあるので本来8時間以上連続装用するべきではないコンタクトは乾きまくりで辛い。休みの日もヨガの時やメイクでおしゃれしたい時はやっぱりコンタクト。使い捨てコンタクトは通販で買っていて年間$300くらいかかってるはず。眼鏡は普通のが2ペア(日本語の数え方わからず)と度入りサングラスが1ペア。万が一コンタクトに問題が起きた時のために1ペアは持ち歩くようにしている。前は元彼氏の家に1ペア置きっぱなしだった。裸眼ではまっすぐ歩くことすらできない。急なお泊まりとか無理ですから!
レーシックは日本では副作用や長期的なリスクを懸念する人が多いけど、カナダではけっこう知人でやったという話聞くしみんな絶賛してるし、もう大人なのでこの先老眼になるまでは極端に視力が変わることはないだろうし、とにかくもう目が悪い生活に疲れたので悪い評判とか全部シャットアウトして強行突破した。一番良く聞く副作用が「眩しい光に耐えられなくなる」で、これは照明技師であるわたしにとっては完全に致命的なんだけどまあ役者でもやってる人たくさんいるし(ブラピとか)、最悪サングラスをして仕事することも可能なのでもうどうにでもなれ。手術は来年になると思っていたら「明後日やっちゃいましょうか」と言われて若干怯むのであった。まあ先延ばしにしてもしょうがない。
当日は朝9時集合。最終確認でまた視力検査をし、支払いを済ませ待合室で待たされる。こんなに待たされると思っていなかったのでKindle置いてきちゃったよ。カウンセリングの時に「不安感が強い場合はザナックス(抗不安剤)を用意しています」と言われたことを直前になって思い出す。ザナックスは娯楽用に乱用されることが多い合法ドラッグ。ちょっとだけ味見してみたかったな…いやなんでもないです。
結局40分だか1時間だか待って手術室横の薄暗い部屋に通された。ヘアネットと靴カバーをして、麻酔の目薬をさしてもらう。この部屋で2人順番待ちをして、向こう側にもう2人手術直後の人がサングラスをしたまま休むエリアがある。わたしの次に並んでたのがいかにも神経質そうな女性で、ここで働いてるのかというくらいレーシックに詳しかった。いくつかのクリニックでカウンセリングを受けてここが一番信用できそうだったらしい。Googleで「レーシック バンクーバー」って調べて最初に出てきたところに即決したわたしの素直さよ…。
そうそう最近は普通のレーシックの他にPRK(オールレーザー)という術式があり、PRK専門のクリニックもあるんだって。わたしの目ならどちらでもイケるから当日選んでと言われた。そんなカジュアルなのかい。ネットで軽くリサーチし、当日ドクターと話して普通のレーシックに決めた。PRKのほうが$500高いけど効果は同じ、術後の治りはレーシックに比べてだいぶ遅い、ここ数年に実用化されたばかりの新しいテクノロジーなので謎も多い、などメリットが全然わからなかった。例えば角膜が薄いなど特定の目のコンディションの人にはこちらのほうが精密にできる?とかで安全度が高いようです。詳しいことは専門家に聞いてくれ。
いよいよドクターと握手し手術台に寝転ぶと、肝の据わったわたしもさすがにドキドキした。大量の目薬をジャブジャブ投入したら片目を紙テープで無理矢理閉じられ、片目はやはり紙テープで睫毛ごとこじ開けられルドヴィコ療法的なクリップをはめられる。「これよかったらどうぞ」と両手にストレスボールを握らされた。
手術の手順は理解してもおそろしいだけなので事前の説明は全て右から左へ聞き流した。目薬の海に溺れていて尖った器具が眼前に迫ってくる的な恐怖は無くて、ものすごくぼやけている。暗いところでぎゅっと目を閉じるとなんか模様が見えるアレの豪華版というかんじでけっこう面白かったです。一度真っ暗になって赤い星がたくさん見えるところがクライマックスだったな。目開いたままなのに真っ暗になるって、多分一瞬失明してるってことだよね。無機質な電子音と、ドクターと助手の人が視力の情報とレーザーの強度?を復唱して確認しているのがまた未来の言葉みたいに聞こえて全体的に『2001年宇宙の旅』っぽかった。
レーザーで目玉がこんがり焼ける匂いが香ばしい。歯医者でバイトしてた時の歯肉を焼く匂いと同じだね。人体の焼ける匂い!痛みはないけどグッと眼球を押される圧力は少し感じた。ものの10分15分で手術が終わり先ほどの部屋に戻って休んでいると麻酔が切れたのか少し沁みるような感覚が出てきて、ナイスタイミングで助手さんが目薬を追加しに来てくれた。人体とは不思議なもんでペロッと薄く削ぎ開いた眼球の表面は30分くらいで元通りにくっつき始めるそうです。くっついてるのが確認されたのであっさりリリース。
こういうのわたしはまじウケる(笑)と思える方だけど怖がりの人には厳しいかもしれない。みんな付き添いの人と来てた(手術室には入れない)。こっちの人ってちょっとした検診とかでも病院はパートナーが付き添うのが当たり前みたいな文化じゃないですか。まあわたしも彼氏いたら多分連れてきてたけど…秋に別れて今もシングルなんで…。ていうかレーシックは外科手術なので、帰りは車で誰かに迎えに来てもらうというのが法律で決まっているらしい。頼めばニコが車出してくれたと思うけどダウンタウンはパーキング高いし、クリスマス直前で道は激混みだし、駅の目の前なんだから電車のほうが早いくらいなんだよな。日本語でググるとどこのクリニックも「当日は自分で運転しないでください、電車やバスで帰れます」と書いてある。何度も「お迎えは来てるんですよね」と聞かれたけど別に車に乗り込むところを見届けられるわけではないので適当にあしらって一人で電車で帰った。手術直後は水の中にいるみたいにボヤけているものの、その向こうの風景は確実に見える!今までは裸眼で電車に乗るなんてありえなかったもん。近所の薬局で処方の目薬を購入し、保護サングラスをかけたままじっと目を閉じて過ごした一日でした。事前にオーディオブックをダウンロードしておいたのだ。2時間おきに目薬をさし、寝る時もサングラス着用。
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翌朝起きたらいきなり部屋の様子がウルトラHDでくっきりはっきり見えてナニゴトかと驚いた。本当に目が良くなっちゃった!夢じゃなかった。フォローアップの検診があり、傷は順調に回復していて視力は20/20といってもいいでしょうと言われた。20/20というのは慣用句的にパーフェクトな視力という意味で具体的な数値はわからない笑。適当だなあ。首から下だけシャワーして顔をジャブジャブ洗うことはできないのでノンアルコールのウィッチヘーゼル化粧水で拭き取るだけ。そしたら肌の調子が目に見えて良くなった!思わぬ副産物。アイメイクは最低でも一週間は控えるとのことでクリスマスはすっぴんで過ごすことになってしもうた。オフィスなど安全な仕事なら手術翌日から復帰する人もいるようですが、やっぱりすごく目が疲れる。わたしは年明けまで撮休なので仕事の心配はなし、3日目にはヨガに行ったり車で買い物に出かけたりと日常生活に戻りました。対向車のヘッドライトが全部星に見えた。これがハロ/グレア現象か…!数週間から数ヶ月で治るらしい。一番心配していた光に過敏になってしまう症状は今の所はなくて一安心。こうしてパソコン作業もできるようになりました。めでたしめでたし。
飛躍の一年の締めくくりにもうひと踏ん張りエイヤと勇気を出したおかげで目が良くなって、とてもいい気分で新年を迎えられそう。2020年はもっといい年になります。断言。
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