永住権が出たので職業制限が解除され、大嫌いだったファストフードの仕事を退職した。スッキリ!現在は就活に専念しております。
15歳の時からずっと仕事をしてきた。ファミレスとコンビニに始まり、スポーツ用品店の販売員に歯科助手、スパ受付、地元のレストラン、水商売。ラクそうなバイトならなんでもよかったけどラクな仕事なんかあるはずもない。賃金が発生する時点で立派なプロフェッショナルなのに日本ではフリーターと呼ばれてしまう。わたしは今年30歳で、いわゆる正社員になったことが一度もない。一応都内二流私大の法学部を卒業しているのだが、みんなが欲しがる新卒カードは捨てた。就職したくなかったわけじゃなくて就活をしたくなかった。だってみんな同じ服を着て、読まれもしない履歴書をなぜか手書きで書いて、面接で仕事に関係のない個人の人格を否定されたり大学の授業を休んで説明会に出たりするのって馬鹿みたいだし。(あのカルチャーはどう考えても異常なのになぜ反乱を起こさないんだろう?)在学中はいつも最前列に座って熱心に勉強して、卒業後は実家で親の脛をかじりつつ学生時代からのバイトを続け、就職しないわたしを面白がってくれた教授のお誘いで学部と院の聴講に通った。学費を払っていないのでもちろん学位は出ない。専攻は一切キャリアに役に立たない政治思想史。学生生活を延長して現実から目を逸していた、そんな折に東日本大震災が起こった。それをきっかけに「こんなふうに目的もなくダラダラ生きて、もし明日死んだら成仏できぬ」と思ってカナダに引っ越したもののファストフードしか仕事が見つからず、さらに永住権を取れるかわりにずっとファストフードで働く約束になってしまい…というのがこれまでのお話。最初はアパレル販売の仕事とか探してたんだけど、今思えば販売の仕事だったら永住権取れなかっただろうから採用されなくてよかったのかも。トラブルがあって一度は諦めて日本に帰ったのに奇跡的に就労ビザでカムバックできたのは最初に働いたバーガー屋で出会った元カレのツテだし、運命は不思議だ。
ワーホリビザが切れてからはずっとFood Counter Attendant(NOC6711)=ファストフード枠でしか仕事できないビザでした。転職も副業も禁止。同じ飲食業でもレストラン(着席するとサーバーが世話をしてくれる店や、お酒を出す店)とファストフード(カウンターで注文するセルフサービスの店)では全然違う。前者の場合チップを貰えるので給料がまず違う。時給は最低時給程度でもチップを現金で毎日貰えるので特にサーバーは下手なサラリーマンより稼いでるくらいだし、チップをはずんでもらえるようサービスを徹底的に極めている人も多い。それにレストランは完全分業なのでサーバーは皿洗いなんかしないし、汚れた皿も下げないし予約の電話も受けない。それぞれ専門の人がやる。一方ファストフード店では基本的にお客さんはチップを置く必要がない。給料は最低時給の$10.85(BC州、2017年3月現在。最近まで$10.25だった)で昇給は期待できない。それなのに仕込みも接客もレジも洗い物も掃除も毎週の棚卸しも全部やらなきゃいけなくて、いわゆるワンオペとかもある。カナダ人でこんな底辺仕事をやるのは高校生かマジで意識が低い層だけなので、仕事が出来ないだけじゃなくてすぐにサボったりバックれたりレジのお金を盗んだりとロクなことがない。それですっかり参っていたサンドイッチ屋のオーナーが日本にいたわたしを招いてくれたのであった。ビザがかかっている外国人は絶対に馬鹿なことはしないし、よく働くからね。
医者でも実業家でもないわたしを永住権にまで導いてくれたことには感謝はしているけど、もうファストフードには疲れた。というか飲食業界に疲れた。日本でもカナダでもなんでこんなにブラックなんだ…。どこの店にも必ずやたら張り切るスーパーバイトがいて、経営は給料に見合わない彼らの熱意に甘えて成り立っている。日本では飲食だろうが会社員だろうがどっちにしろブラックだと思うけど、カナダの会社員はどう考えてもホワイトで、時給だって$30とかそれ以上もらってる。平日のお昼のヨガなんか超混んでるんだよ、近所のOLが来るから。60分のヨガクラスに行けるほど長い昼休みってなんだ??それで電車が一番混むのが午後4時、5時。日本ではプレミアムフライデーなんて制度が始まったらしいけど金曜に早く上がるのなんてこっちでは当たり前だし。まだ外が明るいうちに仕事を終えたら友人や家族とのんびり過ごしたり、ジムに出かける人もいる。それに比べてわたしなんか朝から晩までほぼ座るヒマもなく走り回った後に彼氏に会う元気すらなかったし、とてもじゃないけどジムなんか行けなかった。とにかく早く家に帰って寝たい。BC州で人間が人間らしく生きるために必要な時給のボーダーライン(living wage)は$20と言われている。わたしは20代の大切な時間をその半額で大安売りしてきた。土曜も日曜も働いて、福利厚生なんかあるわけもない。
仕事ってなんだろう。もうこの際なんでもいい。ただ座って仕事がしたい。パソコンに向かって、コーヒー片手に仕事がしたい。仕事帰りにジムに行かないと身体がなまるような、座ってできる仕事がしたい。そう思い立って就活を始めました。日本の友達に比べたら10年くらい出遅れてしまったけどこの国では遅すぎることなんか何も無いさ。セビくんのパパやママだって50過ぎて「やっと自分のやりたいことが見えてきて将来がすごく楽しみ」と言っていた。彼のカレッジのクラスメイトだって子育て中のママや60代くらいの学生がいたし。仕事がキツイ時には今までサボってきた罰だと思ったこともあるけど、平均と違うペースで生きることって罰を受けるほどの罪なんだろうか?というかわたしはサボってなんかいない。いつだって真面目に働いてきた。
高校まではとにかく成績が良くて生徒会長までやった優等生で、高校はバイトと恋愛が忙しすぎて落ちこぼれだったけど2ヶ月くらいがんばったら大学に合格したし、大学では教授にモテたし、学校というシステムの中で「いい子」でいるのはわたしにとっては簡単なことだった。だけど卒業して所属がなくなったら一気にバランスを失ってしまった…。髪を派手に染めてるし服装も他の子と違うし、自分で言うのもナンだけど謎のカリスマオーラがあるから初対面の人はみんなわたしを美大生かアーティストかクリエイターだと思う(日加共通)。わたしのことをよく知っている人にもアンタはもうじき凄い有名になるとか散々言われてきたけど、そういう周囲の期待がずっと苦しかった。わたしは見た目はアバンギャルドでも中身は「いい子」を演じたいだけの、自分で考える力を身に着けられないまま大人になった自分のままなのに。早いうちに気づいてデザインとか美容業界に行ってればよかったんだけど、それこそ才能なんかない自分にがっかりしそうで挑戦できなかった。どうせデザインや美容のお給料も日本じゃコンビニのバイトくらい安いんだろうし。
周りに何と言われようとわたしはクリエイティブなタイプではないから、とりあえず地道に事務の仕事とかしようと思う。この「とりあえず」に乗っかるまでどれくらいの努力と時間がかかるかわからないけど…。やるしかないんでやります。というわけで次回の投稿からは具体的な就活日誌を公開します。
5 comments:
私は40でバンクーバーでデザインの仕事をしています。
先日、BC PNPのノミネーションがおりてこれから移民申請をするところまで来ました。
私のワークパーミットも転職などができないもので、すごく苦しい時もありますが、このブログを見て励まされています。
陰ながら応援しています!
こんにちは。わたしも日本社会のあれこれがずっと苦手で、東日本大震災の前後から本格的に海外移住を考え出し、1ヶ月前にバンクーバーにやって来ました。何年か前からちひろさんのブログ、穴が開くほど読んでます。。
ちひろさんほど勉強が得意なわけではないけれど、わたしもいい子タイプの学生だったし、なんだかすごく共感して初めてコメントを書きました。永住権取得おめでとうございます。わたしもどうにか永住権取得の道を探っていこうと思っています。
就活、大変なこともあるかと思いますが応援してますね!
potatoさま
いいなー手に職ある人は世界中どこに行っても食いっぱぐれないですね…。いま就活してて痛感しまくってます。
ノミネーションさえされればあとはあっという間ですよ。応援ありがとうございます!お互い頑張りましょうっ
Kayoさま
ブログ見ましたよー写真キレイですごい!なんだかバンクーバーがすごく素敵な街に見えてきた!笑
わたしも最初同じホステルでネズミと共同生活してましたよーなつかしいな。そういえば図書館のイベントスケジュール見てたらこんなのありましたよ Immigration Pathways https://vpl.bibliocommons.com/events/58b890548c00fb3c0013c1e8 来週ですー無料なんでお時間あったら覗いてみてはいかがかな?図書館は無料で神イベント連発なのでとくにこっちの生活に慣れないうちはどんどん利用したほうがいいです。
わあー ありがとうございます! 実はブログのURLが入るとは思ってなくて後で慌てました。笑
見ていただいて嬉しいやら恥ずかしいやら。笑
図書館の件もありがとうございます! 先日寄ったときにわたしもこの告知見かけたんですが、ばっちり語学学校の時間とかぶってるので考え中です。。
いつもありがとうございます。
ずっと応援しています
どんどん幸せになっていきますように
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