2017/06/15

カナダで就活③-2 銀行の就活(後編)

前回までのお話はこちら→

Late Bloomer 30歳からの就職活動

カナダで就活①就活はひとりじゃできない

カナダで就活②就職しました  

カナダで就活③-1 銀行の就活(前編)



戦歴

応募総数: 5社
書類審査通過: 3社
一次面接(電話)を受けた回数: 3件
Web審査を受けた回数: 2件
二次面接(対面)を受けた回数: 2件
ジョブオファー: 1件

大手銀行の採用プロセスは似すぎていてというか全く同じシステムを使っているので、面接の形式や質問内容までほぼ同じ。どうでもいいところから腕試しして本命の本番に備えるといいと思います。まあ実際入社した待遇もほとんど変わらないんだけど。ルームメイトの強力なコネがあって結局そこで働くことになったけど、滑り止めと思ってあちこち受けた。実際そのコネのところが一番最後に面接することになったので、滑り止め二件が練習になった。

銀行のテラー(窓口係)は店舗数が多い上に入れ替わりが激しいので常に求人している。ポジションは正式にはCustomer Service Representative(CSR)などと呼ばれることが多い。採用過程を通じてとにかくcustomer service, sales, そしてcash handling and cash balancing経験をゴリ推しすること。コンビニやファストフードでバイトしたことあるよね?「いらっしゃいませ」「ポテトも一緒にいかがですか」と言わされたことあるよね?シフト終わりにレジ上げをしたことあるよね?それは立派なスキルです。


書類審査

テラーポジションについてはジョブフェアに参加したり、飲食店のように直接支店に出向いてレジュメをドロップする人もいるようだけど、一番簡単なのは銀行のWebサイトに行ってcareerページに登録することだ。一度プロフィールを登録してしまえば同じ銀行内の複数の求人に簡単に応募できるし、アラート設定をしておけば求人広告が出次第メールでお知らせしてくれる。特定の支店で募集している場合と、バンクーバー近郊といったざっくりエリアで募集している場合がある。レジュメとカバーレターはPDFでアップするのが基本。 ファイル名はChihiro_Okuyama_Resume.pdfみたいなかんじで、bank_resumeとかジェネラルなのはNG。支店ごとの募集の場合カバーレターのsalutationは前回も書いたが出来る限りリサーチをしてカスタマイズ。支店情報のページにブランチマネージャーの氏名を掲載している銀行もある。どうしてもわからない場合のみDear Hiring Managerで。

オンライン応募の場合はレジュメとカバーレターの他にいろいろ個人情報を登録する。ここですでに紹介者の名前を書く欄があるくらいなのでコネで入社する人は多いのだろう。CSRは最初はpart timeで募集してトレーニング後full timeに移行できる場合がほとんど。希望スケジュールの質問が出てきたら本当はfullで働きたくても募集の条件に合わせてpart timeにチェックしておく。前回書いたように応募書類はコンピューターでまずふるいにかけられ、後は人事の人間が確認する。一次面接の連絡はメールか電話で、割とすぐ来た。3、4日くらいから最長でも一週間くらい?コネの分は公式サイトからではなく紹介者のビジネスメールアドレスに直接連絡して、彼女からもすぐに電話があった。どこも明日(平日)に電話面接できるかな?みたいな感じで急いでいる様子だった。人事部は土日は休みだろうから、他の仕事や学校のかたわら就活してる人にそんな急なスケジュール無理だよなあ…。


一次面接

一次はどこも30分程度の電話面接。もともと日本語でも英語でも電話に苦手意識があるのでめちゃ緊張した。ただし電話なのでパジャマで家のベッドの上で寝っ転がって面接できて、しかもアンチョコ見放題。全く自信が無かったのでありがちな質問を10個だか20個だか選んで解答全文をWordに書いて、質問されたらすぐに検索できるように付箋を貼っておき読み上げるという作戦に出た笑。それでも緊張で手が震えた。電話の相手は人事部のオペレーターで、これをパスできれば支店長との面接をセッティングしてくれるという流れ。話しながらオペレーターがカタカタとパソコンに解答を入力しているのが聞こえる。オペレーターは普通は協力的で、ちょっとくらい言葉に詰まっても「なるほど、つまりこういうことですよね?」と補足・要約して適当にいい感じの文章にしておいてくれる。後からわかったことだがこの入力した内容が二次面接の相手(支店スタッフ)にもシェアされていて、全く同じ質問は二次面接では基本的には聞かれない。

「ありがちな質問」というのはGlassdoorに載っている。実際に面接を受けた受験者が詳しくリポートを残していて、掲載前に運営のチェックが入るので信頼できるサイト。CSRはentry levelのポジションなので極端に難しい質問は出ない。というか決まったリスト以外の質問をしてはいけないといった様子だった(公平を期すためか)。内容はおおまかに①自分に関する質問②behavioral questionsの二種類。最初はまず勤務地やスケジュールの希望、「カナダで合法的に働けるビザがあるか」「犯罪を犯したことがあるか」「家族に銀行で働いている者がいるか」「給料はいくら欲しいか」など事務的な質問が続く。それからレジュメの内容について簡単な確認があるのでコピーを手元に置いておく。

ここまでは簡単だけど、いよいよ面接らしくなるのは②のbehavioral questions。これは特定の状況を想定して自分が取りうる行動、過去に似たような状況があれば自分が取った行動、を具体的な例を挙げて答えるというもの。これを5個くらいかそれ以上?聞かれた。たとえばこんなの→Top 10 Behavioral Interview Questions and Answers これは全部準備できていて当たり前。The STAR (Situation, Task, Action, Result) formatという公式は絶対に知っておきたい。




ちなみに面接で120%聞かれる定番質問の"So, tell me about yourself"と"What do you know about our company"は聞かれませんでした。でも一応準備はしておいたほうがいいね。他の質問に答える軸となるし。

一次の電話面接は三つ受けて全部通りました。これはあくまで「スクリーニング」なので、そんなにハードルは高くないっぽい。

Web審査

電話面接の前後に三社中二社あった。メールに添付されたアドレスに飛ぶとやたらよくできた独自のソフトウェアで適正を審査される。ロールプレイ的な内容でほとんど常識の範囲内で答えられ、二社とも適当な解答でも通ったとはいえとにかくめんどくさい。インターネットの接続が良好な場所で時間の余裕があるときに落ち着いて受験すること。


最終面接

電話面接の直後に最終面接を受けて下さいと連絡があった。本当にみんな急いでるんだな。しかも三社中一社はなんと最終面接も電話と言われた。ということは一切顔を見ずに採用しちゃうってことだよね?それどうなの?「どうもー」って出勤してきて顔面ピアスだらけのタトゥーまみれのモヒカンヘアだったらどうすんだろう。まあそれはいいとしてこの銀行は不採用になった。まず、電話口の人事がきついインド訛り。でた!!!なんでわたしはいつも大事な時にインド人に当たるのか?!(→IELTSの面接官がインド人で何言ってるかわからないの巻参考)それに一次電話面接の時間を決める時にメールでもらっていたシフト案がいつのまにか変わっていたこと(毎週土曜は必ず出勤なんて聞いてない)、それに突っ込んだのにごまかされたこと、ていうか全体的に態度が悪かったこともありわたしのほうも萎えまくっていた。まあ一応練習と思って話を続けたけど冒頭の過去五年の職歴についての質問で「正確には何月から何月まで働いたんですか?」と聞かれ一瞬「えーといつだっけ?」と口ごもっただけなのに、「もう結構です」と勝手に電話を切られた。感じ悪!!もう二度とここの銀行には関わらん。人事のイメージって大事だよね。

レジュメの職歴欄には採用から退職まで、月も書く場合と西暦しか書かない場合がある。主にスペースを節約する目的で月は省略可ですが、信用が命の銀行ではけっこう大事になるので(この後も何回も聞かれた)、書いておいたほうがいいみたい。この電話のあと速攻書き出して次に備えました。あと、辞めた理由も聞かれる。わたしの場合は「ビザ切れ」「フランチャイズのオーナーがビジネスやめた」と不可抗力だったので簡単でした。直近の仕事については「今までに培った接客スキルで新しいことに挑戦したかったから辞めた」と答えた。これも後から何度も聞かれる上に、採用直前のバックグラウンドチェックで前の職場に連絡がいくので嘘つくとヤバイです。

というわけで直接支店で面接することになったのは二社。しかも二日連続。電話面接から数日あったんですが緊張レベルはマックスに達し地獄のようだった。実際の面接ではカンペ丸読みというわけにはいかないので仕方なくカンペ丸暗記作戦に切り替える。面接でぺらぺらとアドリブ加えてフリートークするほどの英語力なんかないよ!というか普段かなりsarcasticな話し方してるんだなと実感した。本音を話したら間違いなく落ちる。カンペ片手に朝から晩まで壁に向かって話し続けた。I have 15 years of experience in customer service, I have 15 years of experience in customer service, I have 15 years of experience in customer service....こんな簡単なことが緊張するとどうしても出てこない。口がうまく回らず言葉に詰まってしまう。WorkBCのワークショップで教わったように、「まるで自分の電話番号を言うようにスラスラと話せるまで何度でも練習」した。壊れたレコードプレイヤーのように話し続ける。話せば話すほどゲシュタルト崩壊というか、もう何がなんだかわからなくなって本当に苦しく惨めな時間であった…。なんていうか、わたしはネイティブスピーカーではないし、いくら勉強したって一生ネイティブスピーカーにはなれないんだなと改めて実感した。銀行テラーはとくにトークスキルが求められる仕事で、ネイティブと同じ土俵で戦うのはほとんど不可能のように見えた。でも、やるんだよ!絶対にこのチャンスを無駄にしたくない。

面接直前に偶然見つけたこの動画→ Amy Cuddy: Your body language may shape who you are
前半は実践的とはいえ「まあそうだろうね」といった内容で関心しなかったのだが、終盤のI'm not supposed to be here,とたたみかけるところで思わず泣いたね…。fake it until you become it. 新しいことに挑戦するのにビビってる人に是非見てほしいです。昔から「わたしはこういうタイプじゃない。向いてないから仕方ない」と何事もやる前から諦めがちだったけど、カナダに来てからは「できないんじゃない。今はまだ慣れてないから下手なだけ」と考えるようにしている。今回の就活だって最初は求人を眺めてる時点で心が折れかけたけど、そのうち慣れると信じて努力し続けた結果最終面接までたどり着くことができた。わたしにできないことなんかない。今までだって、なんとかやってきたじゃないか。



面接当日はまだ髪がブルーのままだったので(採用決まってから結局染めた)ebayで買った黒髪のウィッグを被って出陣。フォーマル服はNPO団体Dress for Successが無償で提供してくれました。この話はまた詳しく書こう。

最終面接は二社ともほぼ同じ流れでした。30分から45分くらいのトークで、相手は支店長(メインの話し手)とその補佐(メモを取ったり追加の質問をする)の2人。みんな接客のプロだけあってめちゃくちゃフレンドリーで話しやすいです。笑顔、アイコンタクト、力強い握手は忘れずに。質問の内容は電話面接の解答がシェアされていてそこに少し補足といったかんじ。電話面接では聞かれなかった「我が社について何を知ってますか?なんで我が社を志望したんですか?」をズバリ聞かれた。これは完璧に答えられたけど「はい予習してくれたんですね、ありがとう」と適当に流された。あとはスケジュールの話が大半と、ぶっちゃけこういうイヤなこともする(クレーム処理とか)仕事ですけど大丈夫そうですかね?みたいなネガティブな面も説明される。追加のbehavioral questionsも2、3問。結局採用に至った銀行の方は今思えばまあ形式だけの面接だったのかもしれないけど、話してる最中から「まああなたは大丈夫そうだよね」みたいなムードだった。これはどんな形式の面接にも共通ですが最後の「何か質問ありますか?」には絶対に答えられないとダメ。電話面接と違ってカンペは使用不可ですが質問したいこと、アピールしたいことの短いメモくらいは持ち込んでもいいでしょう。話しながらメモを取るのも印象いいと思う。念のため自分のレジュメのコピー数枚と、面接する住所や面接予定の相手の名前を書いたものと一緒にバインダーに挟んで持っていきました。カナダの接客の基本はいちいち相手の名前を呼ぶこと。これは意識した。

面接後は両社とも「他に候補者がいるので採用の場合今週中にも連絡します」と帰された。面接の後はかならず「お忙しい中わたしとの面接に時間をとっていただきありがとうございました」とサンキューレター(メール)を出しましょう。ネットでいくらでもテンプレが見つかる。WorkBCの先生はちょっとオバチャンなので手書きが一番!翌日会社を訪ねて受付嬢に短いグリーティングカードを預けるの!と言っていたけど現代ではメールが一般的なんじゃないかな?だから別れ際に必ず名刺をもらうこと。採用された方の銀行は名刺にメールアドレスが書いてなくて、うまく送れなかったので手書きでカードを書いていたら!ちょうど書き終わったところで「あなたのこと気に入った。採用したい」との電話がありました。つまり即日採用。もう一社は一週間後くらいに不採用の留守電が入っていた。こちらでは不採用でも連絡がない場合がほとんどな気がするので逆に親切だなと思ったね。

事前に噂は聞いていたので覚悟はしていたけど、銀行は内定が決まってから詳細なバックグラウンドチェック(身辺調査)があります。カナダと日本の犯罪歴や、過去三つの職場に連絡が行き根掘り葉掘りわたしが安全な人間かどうかを調査される。カナダに来てちょうど三つ仕事して、どこも大嫌いだったけど一応いい子にしておいてよかった…。この調査に、外国人なせいもあり1ヶ月くらいはかかった。6月頭にやーーーっと勤務開始で、毎日バリバリにスーツを着て研修を受けています。



バンクーバーはオフィスの仕事であっても基本的にドレスコードがユルいんですが、法律と銀行が一番厳しい。ジャケットにペンシルスカートかドレスパンツ、つま先のあいていない靴さえ着用すればトップスは少しくらい遊んでもいいようだがわたしは考えるのも面倒なので襟付きのシャツを着ている。ストッキングはカナダで買えるものはとても高く品質が悪いので日本の楽天から海外配送してもらった。座り仕事なので靴は超ハイヒールのパンプス。安いやつなのですぐ疲れる、ああルブタン欲しいなあ。問題の髪は毛先に少し青と紫を残してあとは黒く染めました。夜会巻にしたりポニーテールにしたり。アイラインはハネすぎず、代わりに真紅のリップをアクセントに。ケイトスペードの黒い鞄は少し高かったけど自分への就職祝いに買っちゃった。高層ビルの隙間をカツカツ闊歩するわたしはかっこいいです!

スーツを着ている同級生を見て「ああならないように生きていきたい」と思ったのが7年前。ずっと先延ばしにしていたのに急に大人になっちゃった。この背伸びいつまで続くんだろう。どんな髪色でも何を着ていてもわたしはわたしでいたい。今ならそれができる気がする。

2017/05/19

カナダで就活③-1 銀行の就活(前編)

前回までのお話はこちら→

Late Bloomer 30歳からの就職活動

カナダで就活①就活はひとりじゃできない

カナダで就活②就職しました



希望職種を絞るまで


「座って仕事ができれば何でも構わない」と就活を始めたはいいものの、一日中黙々とエクセルでデータ入力とかしてる自分をどうしても想像できなかった。大学生の頃一回だけ知人の手伝いでやったことがあるんだけど一日目で逃げたしな。しかもindeedでadministrative assistant(一般事務)と検索するとほとんどのところが「最低3年の経験」「大卒かつビジネス専攻のみ」とか高望みしよる。時給$16くらい、下手したら$13しか出さないくせに何を言ってるんだ君は。一応日本で歯科助手バイトをやっていたので医療事務も考えたのだが、バンクーバーのみで通用するニッチな資格を実質必須にしているところが多いらしい。取るのは簡単だけど地味に受験料受講料がかかる、みたいな。バンクーバーはとにかく人が多いのでこうして最低限の常識を身に着けた人間を募集することで少しでも採用活動をラクにしようとする傾向がある。ちなみに募集要項に書いてある条件(minimum qualification, must-haves)はあくまで理想の条件なので6割くらい当てはまれば一応応募してみるといいと聞いた。

のっけから露頭に迷っていた折に、シェアハウスで普段あまり家にいないルームメイト(9人みんな都合があるので全員と毎日顔を合わせるわけではない)とたまたま話す機会があった。なんか久しぶりじゃんー元気?うんうんー今仕事探しててさーと何気なくもらしたら、「へー銀行とかどう?わたしもだし、こないだパーティで紹介した○○ちゃんも昔働いてたんだよ。大親友が今も人事部にいるからレジュメ(履歴書)くれれば渡してあげるからね」と言う。就活で一番大事なのはコネ(networking)、と職安の人も就活本も堂々と宣言するくらい、カナダはコネ社会なのだ。わたしは昔から謎の人脈力があり、あらゆるところで便宜を図ってもらってスイスイと生きて来たのだが、それはカナダに引っ越しても相変わらずなのであった。カナダで言うコネというのは別によく知ってる人のコネだけじゃなく、こうしてほとんど話したこともないルームメイトの繋がりでもいいし、銀行だったら自分がよく行く支店で顔見知りになったスタッフでもいいし。めんどくさくても日頃からいろんなところに顔を出して愛想よく世間話しておけば、それだけでコネができる。FBは必須だね。パーティで一回会ったような人でも一応フレンド登録しておいて「仕事探してるー!」とポストすればけっこうメッセージが来たりする。

先に言っとくけどコネだけで入社したわけじゃないぞ!先に言っとくけどコネなしの丸腰で受けた他行も2軒最終面接までいってるからな!結局コネのところに入ったとはいえ、手加減なしの正規の採用プロセスを通ってるし。

そんなわけで、全然考えたこともなかった銀行の仕事に興味を持ったのはこれがきっかけだった。銀行って日本だとすごい優秀な人しかなれない印象だけど、カナダ人に聞くとそんなことはないと言う。とくに通称テラー、正式名称Customer Service Representativeなどと呼ばれる窓口業務は大学生や新卒生(こちらでは職歴の少ない新卒はむしろデメリットなので最初の就職に苦労する)が短期でやるのに人気があるそうだ。テラーはなるのも業務自体も簡単ではあるけれど、履歴書に書けばさすがに印象がいいので金融以外に転職予定でも最初の踏み石に最適。この業界でずっと生きていく覚悟ならもっと好都合、銀行はほぼ内部からしか人を採らないので一度下っ端テラーで入ってしまえば別部署に昇進するスピードが早いらしい。WorkBC(職安)の人に相談してみたら「それだ!それでいこう キラーン」と大賛成の様子だった。

WorkBCの人には「座ってできる仕事で、かつ日系じゃない会社(日系企業は待遇がまるで日本のように悪いので)」と希望を伝えてあり、最初に提案されたのは語学学校の事務だった。比較的なるのが簡単で、日本語が有利になる可能性大で、教育関係の仕事をしておくと転職するにも大学職員や公務員など幅が広がるという。履歴書に書けるだけじゃなくて仕事を通して出会う人のコネも大きい。わたしはワーホリで来た時一瞬だけ語学学校に通ってたのだが、そこの日本人カウンセラーさんが数年後公務員になっていて役所の受付で会ってビックリしたことが現にあった。コネと経験重視のカナダではこのように、常に次の転職先を見据えて職探しをする。最初の一歩が大事なのね。

銀行と語学学校に共通することは、どちらも市内に無数に存在するということ。それぞれに求められているスキルもほぼ同じなので、募集要項を読んでカスタマイズするのが基本のレジュメやカバーレターの使い回しがしやすい。ネットで検索してバンクーバー全ての銀行、全ての語学学校に応募すればどれかは引っかかるだろう。おれは天才か!とりあえずコネもあることだし、金融OLという肩書きがカッコイイので銀行を第一志望にしてダメそうだったら語学学校に作戦変更しようということになった。


レジュメとカバーレターの作成


しかしダメなレジュメを全部の銀行と語学学校にバラ撒いてどうにかなるわけがない。バラ撒くからには完璧でなければ意味がない。レジュメは日本と違って決まったフォーマットがない上に、普通の英語とは違う独特の文体が使われるので、それに特化した勉強をしないと書けない。最初はルームメイトに見てもらったり自分で図書館の本を漁ったりしていたのだが、これは完全にプロに聞いたほうが早かった。わたしは子供の頃から独学派で人に教えてもらうより自分で調べたほうが効率がいいとずっと思っていたのだが、WorkBCでresume, cover letter, interviewと3日連続でワークショップに参加したことで完全に考えが変わった。講師のKarenがまさにカリスマで、目からウロコとはこの事かと思ったね。彼女が教えてくれたことの一つが、カナダとその他の英語圏の就活は違うということ。アメリカやイギリスで発行された就活本やネットの記事とは異なる部分があるという。英語の情報は発行元がどこだかわかりづらい…。さらにバンクーバーの最近のトレンドみたいなのもあるのでそれを考慮しないと時代遅れのレジュメになってしまう。まずはレジュメを読んでもらえなければその先には進めない。ほとんどのレジュメは読まれもせずゴミ箱に捨てられる。とくに銀行をはじめとした大企業では、オンライン募集で集まったレジュメとカバーレターをまずコンピューターでスキャンして、特定のキーワードが見当たらない場合は自動的にハネられるようになっている(これをATS、Applicant Tracking Systemといいます)。このオートスキャンを通過したレジュメだけが人事の人間の手に渡る。だから募集要項からキーワードを拾って蛍光ペンでチェックし、それを全部含めることと、電子スキャンに対応したシンプルなフォーマットに留めることが大事。移民としてはこのシステムはむしろフェアだと思った。人為でなく機械が振り分けるから、外国人の名前や職歴でも差別されづらい。

んで、できたのがこちらです。数年前のレジュメと比べて成長がすごい!数年前のはまあ飲食店のなんだけど。飲食店のレジュメはここまでがんばらなくても大丈夫ですが当然がんばればがんばるほど戦闘力は上がります。わたしのようなentry levelでは1枚にまとめたほうがいい。レジュメとカバーレターの合言葉はrelevancy。30年も生きてるといろんなバイトもしましたが応募職種に関係のある項目だけ書く。関係ないことは書かない。これが基本。飲食店で働くのにWordとExcelできますとか書かれても困るのです。しかし銀行テラーは完全なサービス業なのでファストフード経験はめっちゃ評価されます!ファストフードでレジ打ってたのは立派なcash handling experienceで、忙しい店なのに焦らず接客できたのもかなりポイント高い。ファストフードと銀行窓口は実は似ているのだ。

過去5年で3軒ファストフードやったんですが業務内容同じのためまとめて書きました
カウンター業務、A店/B店/C店 、バンクーバーといったかんじ

レジュメはでも内容自体は自分で考えたものもそんなに悪くなくて、軽く手直しとフォントを変えただけで済んだ。問題はカバーレター(自己PR文)。下書きを見せたらKarenに「大幅に直さないとダメだね、ていうか全部書き直せば?」と言われた。レジュメは漠然とした方向性でも大筋書けるんだけど、カバーレターは特定の募集要項に対応した内容で書かないと意味がない。一週間くらいかけて夢中で書いた。メールしてくれれば添削するからねっと言ってくれたもののKarenが旅行に出かけたので笑、まずWorkBCのリソースルームにいるスタッフに見てもらった。レジュメやカバーレターには正解不正解がないのでなるべく多くの人に読んでもらうのは大事なのだ。そのスタッフの評価が!「これ本当に自分で書いたの?すごい。最強のカバーレターじゃん」とのこと。本当に自分で書いたんですよ!ちひろうさぎの文才は英語でもダテじゃなかった!旅行帰りのKarenも数カ所直しただけで「これいいじゃん。Good job」と言ってくれた。毒舌な人に褒められるとうれしいー。これも惜しみなく公開する。こちら(銀行用)。

1枚におさめるために行単位ミリ単位で調整してあります

うむ、我ながらよく書けてるな。自分の名前・連絡先の後に数行黒塗りになってる部分はsalutationといって人事担当のフルネームと所属、会社名とその人が主に働いているオフィスの住所などを書くところ。これを調べ上げるのにまず何時間もかかることがあった。ネットでわからなかったら電話やメールで問い合わせをしたりとか。カバーレターは特定の人に宛てて心をこめて書くのが前提であって、コピペした痕跡があったらその時点でアウト。どうしてもわからない時はDear Hiring Managerでもいいけど…。カナダは移民が多いので人事担当の名前がわかっても外国人の名前で、Ms.なのかMr.なのかがわからないことがあった。これも徹底的にリサーチ。LinkedInや、はたまたFBが活躍することもー。後日面接の時も必ず誰と話すのか予習しておいて名前で呼びかける。コミュニケーション、コミュニケーション。

とはいえ銀行テラーの募集要項はどこもびっくりするくらいよく似ている、というかほぼ同じ。要するにどこも接客とお金を扱った経験のある人材が欲しいのだ。だからスキルの話はコピーで大丈夫で、あとは企業ごとにカスタマイズ。これは面接でも重要になってくるんだけど最低でも公式サイトくらいは読んで企業理念を理解してますよというアピールを含める。例えば「最高の(サービス)」という一文を表すにもexcellent, exceptional, あとlegentaryなんてとこもあったな、企業が公式に使った言葉遣いをさりげなく真似たりとか。あと、大手はどこも大企業としての責任というか世間体をものすごく気にするのでコミュニティ、環境、ダイバーシティなど綺麗事を謳っていて、それには是非言及したい。

外国での就活でマイノリティであることは当たり前に重大なハンデになる。その傾向は中小企業に顕著で、外国人の名前というだけで履歴書を読んでももらえない。カナダ生まれ、カナダ育ちのネイティブスピーカーで外国人の名前の人だっているのに…。バンクーバーに限って言えば中国人は有利だけど、日本人なんか英語下手なの有名だし全然相手にされない。しかし!大企業、とくにインターナショナルに業務展開する銀行なんかは移民や障害者をどんどん雇って「いい会社」アピールしたいから、逆にマイノリティであることが有利になる。ホームページの各支店の案内見ると対応言語が書いてあって、移民の多いカナダではそりゃ対応言語が多いほうがビジネスのチャンスは広がる。わたしのおかげで日本人の大金持ちが顧客になってくれるかもしれないしね。日系企業以外で日本人であること、日本語が話せることがセールスポイントになるとは思いもしなかった。でもそれは、レジュメとカバーレターに誤字脱字が一つもないこと前提ね。ちょっとでも間違ってたら「これだから外人は」と思われて終わり。とくに銀行はattention to details(些細な間違いも絶対に見逃さない能力)を重視されるから、単語間のスペースが一個足りないだけでアウト。multi-taskとmulitask、BCとB.C.なんかのconsistencyもね。こういうのは自分では気づかないので最低でも第三者数名、できればプロに見てもらいましょう。このブログは趣味でやってるので誤字脱字あっても勘弁してくれ笑。

完璧に書いても書類審査は入り口でしかなくて、結局は面接で「超絶コミュ力」とレジュメに書いたのが嘘でないことを証明しなくちゃならない。次回は書類審査通過後のお話を書きます。

2017/05/10

カナダで就活②就職しました

やりました!chihirousagi、内定いただきました!

なんの仕事かというと、なんと…銀行!The Big Fiveと呼ばれるカナダで一番強い5大銀行の中のひとつで働くことになった。ファストフードの奴隷で泥水を飲んだ5年間からの華麗なる転身。快挙です!この業界は最初は全員窓口業務から始めて→才能があればそこからぐんぐん昇進→金融界で天下を取る、という流れらしい。基本的にオフィスのドレスコードがゆるいバンクーバーですが、さすがに銀行窓口はコンサバで青い髪はたぶん認められないということで、ebayで買った人毛のカツラをとりあえず今はかぶってます。しばらくはおとなしくしておいてそのうちファサっとカツラを外して正体を明かそうかと思ってる…。



て、端折りすぎだよね笑。おちつけ!

前の仕事を辞めてから2ヶ月間努力、努力、努力の毎日で全く心の休まることがない状態でした。「job hunting is a full time job(就活はそれ自体がフルタイムの仕事である)」と俗に言うが、本当にその通り。仕事してないんだから暇やろとばかりに職安の人がどんどんワークショップやら面談をブっこんでくるし(ありがたい話だ)、外に出るとお金使っちゃうから習い事のヨガの時間以外は一切外出できず気持ちの逃げ場がないし、少しでも何もしない時間があると焦るので延々と求人サイトをたぐったりレジュメを見直したり。ごはんを食べたり酒を飲んでいる時は「仕事もしてないくせに」と罪悪感を感じた(でも酒はやめない笑)。仕事って、しててもしてなくても苦労するんだから参るよなあ。

5年前ワーホリでカナダに来た時は英語もダメだしカナダの職探し文化わかんないし性格も引っ込み思案だしで全然仕事が見つからなくて、何十件も面接に落ちた。履歴書はその3倍くらい出したけど返事すらなかった。「今週ダメだったらもう日本に帰ろう」と思った週に奇跡的に拾ってもらえたハンバーガー屋の仕事も、やっぱり英語がダメな上にカナダの通貨の種類がわからず「どれが25¢のコインですか?」とかやってたら「ここは学校じゃないのよ」と言われ初日でクビになった。でもそこで諦めたらたった数ヶ月のカナダでの夢も終わりだと思って、泣きながら「I won't disappoint you, ever again(二度とがっかりさせたりしません)」と引き下がってもう一度だけチャンスをもらってねえ。インターネットで見つけた子供用のゲームを使って、一晩でコインとお札の種類を覚えた。

ほんと、こんなのが昨日のことのようだよ。今は銀行の窓口で英語で接客しながら大金を扱うのが仕事だなんて、うそみたい。(相変わらず数字には弱いです。)

永住権を取ってさあ何でもできるぞという時に、ずっと興味があった映画の仕事を追いかけたりとかもできたはずだけど、30歳の現実を考えたら安定したお給料や福利厚生で働いて休みの日に楽しく映画を見に行くことが、わたしなりに映画を愛する方法なんじゃないかなと思うようになった。自分らしく生きるにはお金が必要なんだよ!好きなことを仕事にできたらそれはいちばん素敵だけど、好きなことっていうのは往々にして金にならない。わたしはいわゆる「やりがい搾取」みたいなものを絶対に許すことができない。仕事した分だけきっちりお金をもらって、定時になったらもう仕事のことは1ミリも考えたくないのだ。そこでたどり着いたのが銀行だったわけ。

わたしはこの就職をメッチャ誇りに思ってますが実は銀行員になるのはそんなに難しいことではないので(まあわたしでもなれるくらいだからな)、次回からは採用プロセスについて紹介します。

2017/04/01

カナダで就活①就活はひとりじゃできない

何のスキルもない上にカナダでどころか日本でも就活したことがないので何をすればいいか全くわからず途方にくれていたところ、最近UBCの入試課で働き始めたルームメイトのアラナが使命感に目覚め面倒を見てくれることになった。世界旅行から帰って地元バンクーバーでの就活に苦労しすぎて職安の職員並みに就活に詳しくなってしまったそうだ。とにかく不景気なので、カナダ人にとっても職探しは決して簡単なことではない。普通に考えてわたしの一番の強みは日本語が話せることなのだが、日系企業はカナダにあってもやはり日本流のブラック待遇だと聞くのであえてローカル企業を狙うことにする。

アラナは「究極的には就活はnumber game=数の勝負、数撃ちゃ当たる」と言うけど実際に求人に応募するのはまだまだ先。入念な準備をして臨まなければ時間の無駄。わたしの場合「座って仕事をしたい」と、希望があまりに漠然としているのでまずはそれを具体的に絞っていくことと、どんな職種があるかリサーチしようという宿題が与えられた。オフィス系の求人に強いIndeedに載っている記事のURLと募集要項本文をまるごとWordにコピー。求人一件ごとに1つのファイルでストックしていく。タイトルに締切日を含めておくと便利。後で実際応募できるようになったらフォルダにして関連資料や自分が送ったレジュメとカバーレター、オンラインスクリーニングの内容なども同じフォルダにまとめる。もっとフォルダが溜まったら「事務系」「会計系」とか、自分が分かりやすいように整理。提出した書類に書いたことを面接でツッコまれたりするとヤバイので後日検索しやすくしておくのね。レジュメやカバーレターは募集要項に沿って一件一件書き直すのが当たり前らしい…!うえーんめんどくさいよー。

とりあえず今はどんなジョブタイトルがあるのか、どんなスキルが求められているのか、次に検索してみたいキーワードはなにか、リサーチしてメモしていく。


自力就活と並行して政府が出資しているEmployment Serviceにも助けてもらうことにした。わたしはBC州在住ですが他の州でも同じような就職支援サービスがあるはず。ロケーション+employment serviceとかimmigrant settlement serviceとかググってみるといろいろ出てくる。

図書館の掲示板に貼ってあるチラシを時々覗きに行ってもいいし、あとはWorkBcのオフィスに直接足を運んでみるのが一番早い。自宅の郵便番号ごとに管轄のセンターが決まっていて、そこ以外では相手にしてもらえないので先に検索していくこと。→FIND YOUR WORKBC EMPLOYMENT SERVICES CENTRE


ワーホリでカナダに来た時に何も知らずにWorkBCに足を運んで無理やりレジュメの添削をしてもらったけど、担当ケースマネージャーについてもらってフルのサービスを受けられるのは原則(1)永住権か市民権を持っていてフルタイムの就労を目指す、(2)失業中、失業しそう、もしくは週20時間以下しか働けていないパートタイマーの人です。ただしパソコンとプリンターの使用、求人票と蔵書の閲覧などは誰でもどのロケーションでも無料でアクセス可能。手が空いたケースマネージャーがいれば簡単な質問なら答えてもらえるでしょう。

Look for jobs in Canada
WORK BC CENTRES

もしくは、外部サービスに直接連絡をとってみてもいいと思います。図書館やWorkBCの掲示板にたっくさんフライヤーが貼ってあります。全部カナダ政府と提携して運営している安全な機関です。

ISS of BC
YWCA EMPLOYMENT PROGRAMS / SERVICES
YMCA Employment Services

※基本的に永住権か市民権保持者が対象です(図書館ならワーホリやその他のビザの人も一度は訪ねたことがあるよね?バンクーバー中央図書館だと4階のキャリアゾーンあたりのスタッフに声をかけると、永住権がない人でも参加できるイベントなどを紹介してもらえます)

15歳から29歳または30歳までの若者向けのプログラムはさらに豊富。座学→インターンのコンボで、座学の最中もお給料が出る。これはなんとなく最終学歴がsecondary school(高校)の人のためのものなのかな?でも楽しそう。ていうか外国の学歴ってカウントされるのかなー。なんとなくされないような気がしてる。

Intersections Media Opportunities for Youth Society
CAVE YOUTH EMPLOYMENT PROGRAM
Baristas Training Program ←最初の数週間で飲食店勤務に有利な必要な資格を全部取って、そのままスタバで実際職業体験する有給プログラム。すげえ

こうしたEmployment Serviceでは無料か有給で職業訓練、個別カウンセリング、資格講座やインターンシップの手配などをしてくれる。資格の受験料を肩代わりしてくれたり、面接に着ていく服を買ってくれたり交通費やランチが出る場合も!次回詳しく書きますが、全ての求職者が現在住む所があったり食事できる生活水準にいるわけではないのです…。

移民向けだと英語やフランス語の語学学校も無料→  Language Instruction for Newcomers to Canada (LINC) Program 母国である程度キャリアを積んでいるもののカナダでその経験をどうやって活かしていいもんかなんて人は大歓迎で、ローカル企業とコネを作る機会をセッティングしてくれたりするらしい。カナダでの経験がない外国人が丸腰で挑むにはあまりにも過酷過ぎる就職戦争。無料のヘルプを使わない手はありません。

わたしはいま新卒向けインターンシップ(笑。卒業したの7年前なんですけど)に混ぜてもらえるよう頑張ってるんですがそこのコーディネーターにもアラナと同じ事を言われた。何に興味があるのか、どんな仕事がしたいのかもっとよく考えて下さいとのこと。わたしがしたいことってなんだろう…。したくもないことを我慢してやってその代わりにお金をもらうのが仕事と今まで思ってたんだけど、したいことをしてお金をもらえることもありうるのか。Well, we'll see.

LA LA LANDみんな観た?わたしはとっくの昔に観たんですが、別にハリウッド女優になろうとしてるわけじゃなくても、意識的に大きな転換を起こそうとしているタイミングにちょうど観られてよかったです。夢はでっかくなくたって、夢なんだ。←今自分で言って悲しくなった



I'm reaching for the heights
And chasing all the lights that shine
And when they let you down
You'll get up off the ground
'Cause morning rolls around
And it's another day of sun



Someone in the crowd could be the one you need to know
The one to finally lift you off the ground
Someone in the crowd could take you where you wanna go
If you're the someone ready to be found

2017/03/25

Late Bloomer 30歳からの就職活動

永住権が出たので職業制限が解除され、大嫌いだったファストフードの仕事を退職した。スッキリ!現在は就活に専念しております。

15歳の時からずっと仕事をしてきた。ファミレスとコンビニに始まり、スポーツ用品店の販売員に歯科助手、スパ受付、地元のレストラン、水商売。ラクそうなバイトならなんでもよかったけどラクな仕事なんかあるはずもない。賃金が発生する時点で立派なプロフェッショナルなのに日本ではフリーターと呼ばれてしまう。わたしは今年30歳で、いわゆる正社員になったことが一度もない。一応都内二流私大の法学部を卒業しているのだが、みんなが欲しがる新卒カードは捨てた。就職したくなかったわけじゃなくて就活をしたくなかった。だってみんな同じ服を着て、読まれもしない履歴書をなぜか手書きで書いて、面接で仕事に関係のない個人の人格を否定されたり大学の授業を休んで説明会に出たりするのって馬鹿みたいだし。(あのカルチャーはどう考えても異常なのになぜ反乱を起こさないんだろう?)在学中はいつも最前列に座って熱心に勉強して、卒業後は実家で親の脛をかじりつつ学生時代からのバイトを続け、就職しないわたしを面白がってくれた教授のお誘いで学部と院の聴講に通った。学費を払っていないのでもちろん学位は出ない。専攻は一切キャリアに役に立たない政治思想史。学生生活を延長して現実から目を逸していた、そんな折に東日本大震災が起こった。それをきっかけに「こんなふうに目的もなくダラダラ生きて、もし明日死んだら成仏できぬ」と思ってカナダに引っ越したもののファストフードしか仕事が見つからず、さらに永住権を取れるかわりにずっとファストフードで働く約束になってしまい…というのがこれまでのお話。最初はアパレル販売の仕事とか探してたんだけど、今思えば販売の仕事だったら永住権取れなかっただろうから採用されなくてよかったのかも。トラブルがあって一度は諦めて日本に帰ったのに奇跡的に就労ビザでカムバックできたのは最初に働いたバーガー屋で出会った元カレのツテだし、運命は不思議だ。

ワーホリビザが切れてからはずっとFood Counter Attendant(NOC6711)=ファストフード枠でしか仕事できないビザでした。転職も副業も禁止。同じ飲食業でもレストラン(着席するとサーバーが世話をしてくれる店や、お酒を出す店)とファストフード(カウンターで注文するセルフサービスの店)では全然違う。前者の場合チップを貰えるので給料がまず違う。時給は最低時給程度でもチップを現金で毎日貰えるので特にサーバーは下手なサラリーマンより稼いでるくらいだし、チップをはずんでもらえるようサービスを徹底的に極めている人も多い。それにレストランは完全分業なのでサーバーは皿洗いなんかしないし、汚れた皿も下げないし予約の電話も受けない。それぞれ専門の人がやる。一方ファストフード店では基本的にお客さんはチップを置く必要がない。給料は最低時給の$10.85(BC州、2017年3月現在。最近まで$10.25だった)で昇給は期待できない。それなのに仕込みも接客もレジも洗い物も掃除も毎週の棚卸しも全部やらなきゃいけなくて、いわゆるワンオペとかもある。カナダ人でこんな底辺仕事をやるのは高校生かマジで意識が低い層だけなので、仕事が出来ないだけじゃなくてすぐにサボったりバックれたりレジのお金を盗んだりとロクなことがない。それですっかり参っていたサンドイッチ屋のオーナーが日本にいたわたしを招いてくれたのであった。ビザがかかっている外国人は絶対に馬鹿なことはしないし、よく働くからね。

医者でも実業家でもないわたしを永住権にまで導いてくれたことには感謝はしているけど、もうファストフードには疲れた。というか飲食業界に疲れた。日本でもカナダでもなんでこんなにブラックなんだ…。どこの店にも必ずやたら張り切るスーパーバイトがいて、経営は給料に見合わない彼らの熱意に甘えて成り立っている。日本では飲食だろうが会社員だろうがどっちにしろブラックだと思うけど、カナダの会社員はどう考えてもホワイトで、時給だって$30とかそれ以上もらってる。平日のお昼のヨガなんか超混んでるんだよ、近所のOLが来るから。60分のヨガクラスに行けるほど長い昼休みってなんだ??それで電車が一番混むのが午後4時、5時。日本ではプレミアムフライデーなんて制度が始まったらしいけど金曜に早く上がるのなんてこっちでは当たり前だし。まだ外が明るいうちに仕事を終えたら友人や家族とのんびり過ごしたり、ジムに出かける人もいる。それに比べてわたしなんか朝から晩までほぼ座るヒマもなく走り回った後に彼氏に会う元気すらなかったし、とてもじゃないけどジムなんか行けなかった。とにかく早く家に帰って寝たい。BC州で人間が人間らしく生きるために必要な時給のボーダーライン(living wage)は$20と言われている。わたしは20代の大切な時間をその半額で大安売りしてきた。土曜も日曜も働いて、福利厚生なんかあるわけもない。

仕事ってなんだろう。もうこの際なんでもいい。ただ座って仕事がしたい。パソコンに向かって、コーヒー片手に仕事がしたい。仕事帰りにジムに行かないと身体がなまるような、座ってできる仕事がしたい。そう思い立って就活を始めました。日本の友達に比べたら10年くらい出遅れてしまったけどこの国では遅すぎることなんか何も無いさ。セビくんのパパやママだって50過ぎて「やっと自分のやりたいことが見えてきて将来がすごく楽しみ」と言っていた。彼のカレッジのクラスメイトだって子育て中のママや60代くらいの学生がいたし。仕事がキツイ時には今までサボってきた罰だと思ったこともあるけど、平均と違うペースで生きることって罰を受けるほどの罪なんだろうか?というかわたしはサボってなんかいない。いつだって真面目に働いてきた。

高校まではとにかく成績が良くて生徒会長までやった優等生で、高校はバイトと恋愛が忙しすぎて落ちこぼれだったけど2ヶ月くらいがんばったら大学に合格したし、大学では教授にモテたし、学校というシステムの中で「いい子」でいるのはわたしにとっては簡単なことだった。だけど卒業して所属がなくなったら一気にバランスを失ってしまった…。髪を派手に染めてるし服装も他の子と違うし、自分で言うのもナンだけど謎のカリスマオーラがあるから初対面の人はみんなわたしを美大生かアーティストかクリエイターだと思う(日加共通)。わたしのことをよく知っている人にもアンタはもうじき凄い有名になるとか散々言われてきたけど、そういう周囲の期待がずっと苦しかった。わたしは見た目はアバンギャルドでも中身は「いい子」を演じたいだけの、自分で考える力を身に着けられないまま大人になった自分のままなのに。早いうちに気づいてデザインとか美容業界に行ってればよかったんだけど、それこそ才能なんかない自分にがっかりしそうで挑戦できなかった。どうせデザインや美容のお給料も日本じゃコンビニのバイトくらい安いんだろうし。

周りに何と言われようとわたしはクリエイティブなタイプではないから、とりあえず地道に事務の仕事とかしようと思う。この「とりあえず」に乗っかるまでどれくらいの努力と時間がかかるかわからないけど…。やるしかないんでやります。というわけで次回の投稿からは具体的な就活日誌を公開します。

2017/03/04

永住権で可能になること

1月の半ばに永住権を取得し、3ヶ月くらいで自宅に郵送されますと説明されたPRカードが2月の終わりにもう届いた。わーい。今まではせいぜいtemporary wokerだったのが正式にimmigrantになったという実感が湧く。将来的には単にCanadianと名乗れるようになるといいなあ。

マフラー取った直後で頭ボッサボサ(向かって左側)

永住権は市民権(国籍)とは違います。永住者にはカナダ人とほぼ同等の権利が与えられるとはいえ、投票を含む政治活動と国家機密に関わる公職に従事することができません。あと犯罪を犯した場合は強制的に国外退去になる場合があるます。国籍を取得するには6年間以上永住権を保持し、かつカナダに関するクイズで高得点をおさめないといけないらしい(マジで笑)。日本は二重国籍を認めていないのでカナダ国籍を取得することになったら日本国籍を放棄しなければいけません。そうすると「外国人」として日本に入国するのが面倒になったり日本で仕事をするのにビザが必要になったりするので現状は永住権に留めて日本国籍とカナダ永住権のいいとこどりをする日本人が多いらしい。まあそりゃそうか。

永住権を取る一番のメリットはビザの心配をしなくていいことだね。仕事や学校といった明確な目的に基づいた細かい条件・期限が全部失くなるのでどこで何時間働こうが学校に行こうが自由です。国内の引っ越しは何の問題もないし、やっぱり別の国に滞在したくなっても大丈夫。更新単位である5年間のうち2年間を途切れ途切れでもいいんでカナダ国内で過ごせばまたその先5年分も更新できます。今までビザがあってもヒヤヒヤしていた海外旅行が一気にラクになる。カナダの空港ではPRカードがあればカナダのパスポートがある人たちと一緒に並んで自動チェック機でサクっと入国できちゃいます。※COPR後PRカードが出るまでは旅行は我慢しましょう。

永住権が取れたらまずは、今まで外国人で登録していた「9」で始まるSIN (Social Insurance Number)を変える手続きをします。所得や税金関係を管理する番号だね。久しぶりのSinclare CentreにパスポートとCOPRを持って行って5分で完了。昔はプラスチックのSINカードが発行されてたんですが2014年に廃止になったのでただの紙切れを渡されるだけです。無くさないように!この新しいSINを雇用主に報告します。個人情報なので雇用主以外に教えることはないです。あと銀行にも一応連絡しておく。

わたしが永住権を取る上で楽しみだったことの一つが、MSP (Medical Service Plan=国民健康保険)のPremium Assistanceを受けられることです。年々値上がりして最近は月75ドル払っていたのだが、実はこれはカナダ人では外国人と大金持ちしか払っていない満額レートで、その他庶民は前年度の所得に応じて払える額を払っているのです。わたしのような貧乏人はカナダ人/永住者ならなんと月額無料。月額無料なのに診療も入院もタダっていったいどうなってるのかはわからないが、ありがたいので申し込んでおく。ちょうど所得を証明するT4(源泉徴収票)が出たので簡単な書類を書いて郵送しました。月々75ドル浮くと本当に助かる…。【訂正】MSPのPremium Assistanceは12ヶ月以上永住権か市民権を持ちつつBC州に居住した市民を対象に前年度の所得で計算、ということでわたしは来年までは全額払い続けなければいけないらしいです。ああぬか喜び…。それからビザの更新のときはただコピーを送っただけで済んだのですが、永住権を取った今回はPRカードを持ってICBC免許センターで更新して下さいとの手紙も来た。

Premium Assistanceの対象外でもビザの期限やSINが変わったらMSPにはかならず連絡しましょう。

さらに楽しみだったのは職業/語学研修!カナダに移民するのはわたしのようにすでに国内にいてムキになって永住権を取る者もいれば、家族や仕事の事情でなんとなくたどり着いてしまった人や難民もいるわけです。社会の新メンバーとして受け入れた以上はちゃんと生活して仕事して納税してもらわないとマズいので、カナダ政府がさまざまな無料サポートを用意しています。まず公用語の英語(フランス語)に不安がある人は無料で語学学校に通うことが出来ます。同時に住宅の探し方や銀行口座の開き方、医療機関の紹介なども行っているようです。外国から引っ越してきたばかりでもさみしくないようにコミュニティの交流イベントなんかもあります。immigrant settlement service (住んでいる地域) とかでググるといろいろ出るよ。バンクーバー公立図書館の掲示板もチェック。


現地での職歴もツテもないとなると仕事探しは簡単ではないけれど、それも強力バックアップがあるから心強い。今後詳しく書く予定ですがわたしはいま絶賛就活中で、政府が出資している職業訓練プログラムにお世話になっております。こちらではキャリアアップを目指して大学や短大に戻る社会人が多いですが、その学費も永住権があれば留学生料金ではなくカナダ人と同じ値段が適用され奨学金も組める。場合によってはトレーニングや資格取得の料金を政府が負担してくれることも。税金を納めているのがこんなに素晴らしい国だなんて幸せすぎる…面倒を見てもらっている分がんばって働かなければ。

永住権とはいわば自由になれる切符のようなものです。わたしにとっては過去5年を捧げてやっと手に入れた勲章でもあります。これを持ってCanadian dreamを叶えるんだ!

2017/01/17

BCPNPで永住権を取るの巻⑥完結編!悲願の永住権獲得

前回までのお話はこちら→
BCPNPで永住権を取るの巻①ノミネートまで
BCPNPで永住権を取るの巻②Flag Pole
BCPNPで永住権を取る③ノミネート後にレイオフされた 
BCPNPで永住権を取るの巻④Flag Pole失敗とリベンジ  
BCPNPで永住権を取るの巻⑤CICアプリケーション後



2012年ワーホリで初上陸してから5年、BC州ノミネーションプログラムを利用し実際に永住権に応募してからは2年と3ヶ月。2017年1月14日、わたしchihirousagiはついにカナダの永住権を取得しました。

最終段階のタイムライン


2016年

9月27日 オンラインで申請していたBOWPが郵送で届く
12月23日 PPRメールがついに来た!最高のクリスマスプレゼント。粋なはからい。
12月23日 彼と家族で旅行へ出発。笑
12月27日 最後の書類提出
Final requestとのことで、指定された書類をオタワに送付。
  1. ビザ免除国の日本国籍なのでパスポートの写真が入ったページのコピー(今まで何回送ったと思ってんだよ…)。国によってはパスポート原本を送るらしい。こんな大切なものをカナダのいいかげんな郵便で送るとかおそろしいな。
  2. 証明写真を2枚、これはPRカードに使うのだろう。いつも通り近所のLondon Drugsで。
  3. メールに添付されていたしょぼいフォームを印刷し名前と現住所など基本的な情報を書き込む。
  4. 返信用のCanada PostのXpress postの封筒。カナダ国内在住の場合は返信用の宛名は空欄のままにしておく。返信送料は本人負担。今まですでに申請料さんざん払ったのにまだ搾り取るか。
これらを大きな封筒にまとめて入れて送ります(当然ここでも送料)。と、その前に返信用Xpress postのトラッキングナンバーをメモしておきましょう。わたしは忘れた。送料だけで合わせて$21もかかったらしい(怒)

2017年

1月11日 Gckeyがアップデートされたとメール。


Final decision: This application has been approvedとなっている!これにて閉廷。

1月12日  COPR届いたか…?
宅配便の不在通知が入っていた。これはもしや!しかし再配達のないカナダでは翌日の午後以降自分で取りに行かなければならず、仕事が終わる頃には郵便局閉まるので土曜まで待つことに。

1月14日 ついにランディング
郵便局の開店時間ピッタリに封筒を受け取る。中身はもちろんCOPRだ!2枚同じものが入っていて、そのうち1枚にこないだ送った写真が貼ってある。サインするところがあるけどここはまだサインしちゃだめだぞ!これを持って国境へ行くと全ての手続きが完了することになる。いよいよここまで来た…真っ先にセビくんを電話で起こし自分はとりあえずヨガへ笑。今日という日は自分史に残る日になるぞ。 そんな時こそ気を落ち着けてナマステ。
過去3回は電車とバスを乗り継いで国境のPoint Robertsに行ったのだが、今回はなんと最近教習所を卒業したばかりのセビくんが運転してくれるという。しかし仮免(L)なのでフル免の監督者が必要で、セビ母まで片道1時間強の旅に付いてきてくれた。【追記】後からよく考えたらわたしも一応25歳以上でBCのフルのライセンスを持っているので監督者になれるんだった笑。30分ほど走ったところでふと書類のファイルが気になり、まさか忘れ物とか…とチェックしたところ、ない。ビザがない。まさに顔面蒼白で「なーい!」と正直に申告。Uターンして家に取りに帰ることに。気まずすぎてすっかりちいちゃくなったわたしを元気づけるために二人がおもしろいことを言ったりやったりしてくれた。なんかほんとすんません。ここで確認しておきますが、ランディングの時は
  1. COPR(2枚)
  2. パスポート
  3. 今現在のステータスを証明するもの(=ビザ) 
  4. 現住所が書いてある公的書類。運転免許か、銀行やMSPが送ってきたステートメント等
この4つは絶対に忘れちゃだめ!まさか自分に限ってと思ったらこのザマですわ。仕事をしている証拠として一応契約書や直近5回分の給与明細も持ってったのにこれは使わなかった。「一応」アイテムに気を取られ「必須」アイテムを忘れるドジなわたし…。まあ途中で気づいたからいいけどさ。
気を取り直してまた南を目指す。手続きの待ち時間がどれくらいになるかわからないのでママには車の中で待ってもらうことにしたのだが、国境のオフィスの駐車場に停めるとなんかめんどいことになりそうなので近くの公園に停めて少し歩くことに。時刻は夕方5時、気温は氷点下3度くらいか。まずはアメリカ側のオフィスで出国手続き。Flagpoleですと伝える。相変わらずここのオフィサーはとてもフレンドリーでしばしどーでもいい世間話などして書類をもらう。次にカナダ側のオフィスへ。徒歩の我らはストップサインの手前で待ち、係員が手で合図したらまたflagpoleですと言う。武器やドラッグを持っていないか形式的に聞かれる。国籍によらず同行者も必ずパスポートを携行しましょう。セビはカナダ国籍。中に通されると誰も並んでないぞ!やったね。すぐにカウンターに呼ばれ例の必須書類を求められる。犯罪を犯したり入国拒否されたことがあるかと、depanedent(扶養者)がいるかどうかを今一度オフィサーと一緒に確認しCOPRにサインをする。追加の質問や書類はとくになし。ちょっと座って待っててと言われ5分後にはまた呼ばれ、COPRの自分用控えをホッチキスしたパスポートを返された。永住権獲得にあたり今持っているビザは不要になるので没収とのこと、PRカードは3ヶ月以内に郵送されること、MSPやSINの更新が必要なことなどプリントに沿って軽い説明があり、最後にそっけなくコングラチュレーションと言われた時には思わずうわーーーーーんと声をあげて嬉し泣きしてしまった。セビくんと熱い抱擁! 長い、長い自分との戦いに勝った瞬間。今日からわたしは自由だ。自分で勝ち取った自由だ。この日を一生忘れない。

手続きは土曜の夕方でも車から少し歩いたりしたの含めて30分もかからなかった。ランディング(Flagpole)するのはこのPoint Robertsじゃなくてもどこでもいいんですがここは割と穴場的なスポットらしく今まで混んでるの見たことないのでおすすめだよ。バンクーバーから近いし、普通のバスで行けるし 。→行き方はこちらの記事参照

永住権取得にかかった費用一覧

(覚えてる限り)
2014年夏から2017年冬にかけて申請した当時の値段です

BCPNP(州レベルでノミネートされるまで)

大学の卒業証明書の英訳を日本から取り寄せ $54
IELTS受験料 $295
BCPNP 申請料 $550


CIC(連邦レベルで移民を完了するまで)

戸籍謄本を世田谷区役所から取り寄せ $50くらいだったか
取り寄せた戸籍謄本の翻訳、日本国領事館にて $12
指紋採取と無犯罪証明書 Global fingerprinting servicesにて $21
PR申請料 $550
健康診断受診料 $305
RPRF $490


審査中のワークパーミット申請料

永住権が確定するまでは途切れずビザを保持する義務があり、自動更新されないので自力で申請しその都度申請料がかかります。
2015年5月19日〜2015年9月15日 Closed work permit for A company $385
2015年9月11日〜2016年12月10日 Closed work permit for B company $385
2016年9月27日〜2017年9月27日 BOWP $255

雑費

証明写真代、ペーパーアプリケーションなので速達や追跡番号オプションをつけた送料、プリンターを持ってなかったので図書館で印刷費、ビザ更新のため国境に3回(うち1回失敗)行った交通費等 $200(全然わからないので適当)


合計 $3552

えっ?!高くね?計算が本当に苦手な上にきちんと記録を取っておらず、むりやり遠い記憶を発掘しているので間違っている可能性もあります。わたしはノミネート後一度仕事をクビになっているのでワークパーミットの申請費が一回余分にかかっている上に、そこでタイムロスしたせいで時間切れになりもう一回更新しているのでこれが痛かったんだな。今はオンラインのエクスプレスエントリーが主流なので手持ちのビザが切れる前に移民完了してしまう人が多いんじゃないでしょうか。あとオンライン申請ということは印刷代や追跡番号付きの郵送料もこんなにかからないはず。それでもプリンター/スキャナーは絶対に持っていたほうがいいです。買ってもどうせ安いし。

ほとんどの費用はクレジットカードで支払いをします。永住権を考えるにせよ関係ないにせよ、海外に引っ越す前に年会費無料のものでいいのでなるべくたくさんカードを作っておくようにしよう。わたしはカナダのカードも持ってるんですがまだクレジットヒストリーがないため限度額が子供の小遣いくらいで、高額な申請料の前では歯が立たないのでした。

永住権取得にかかった時間

2014年夏から2017年冬にかけて申請した当時の、BCPNP  Entry Level and Semi Skilled Worker Class (NOT Express Entry)の待ち時間です

2年3ヶ月でした。ひとつのスポンサー企業でフルタイム就労を維持しBCPNPに応募資格が出てくるのが9ヶ月目(これはカウントしない)、PNP応募からノミネートされるまでが約6ヶ月間。これは平均より早いと思う。その後CICの書類を全部揃えるのに2ヶ月くらいかかってしまった。やっと送ったと思ったらクレジットカード情報の手違いにより返送され、9月に即再送してからCOPRまでがちょうど当時の公式発表の通り15ヶ月強でした。おおむねcanadavisa.comのフォーラムの仲間たちと同じペースで平均的な待ち時間だったらしい。作成や取り寄せにすごく時間がかかる書類もあるので、請求が来てからあわてて集めるのではなく次に何が必要なのか調べてある程度先に準備しておけばもっと早く永住権もらえたかもとは思います。まあ焦らないでも指示に従えばいつかは次の返事が来るんですが、永住権の募集要項はクラスによらず大幅な改定が頻繁に起こり、調べたらeligibleだったから申し込もうと準備していたのに翌月から急に無理に、みたいな事態もありうるのでそういう意味ではスピード感は大事な気もする。常に最新の情報をチェックしよう。PNPの場合ノミネートさえされればあとはまず永住権確実と言われているようです。ノミネートまでが勝負。今はPNPもけっこう厳しいみたいだけど…。

移民する方法はPNP以外にもたくさんあります。州によっても制度が違う。カナダに残りたいと決めた時から「結婚したら」とさんざん言われたけど、今まで事あるごとに男の子に助けてもらって生きてきたわたしがここでもそれをやってしまったらこれから先ずっと自分のことを好きになれないだろうと思い、ひとりでビジネス移民することにしたのでした。前の職場でカナダ人彼氏とコモンローで移民しようと思っていいところまで行ったのに結局別れたため棄却され無念の帰国という子を見て、やっぱりわたしは正しかったと思ったね。彼女含め知ってる限りで永住権諦めた子が…5人くらいはいる。理由は主にスポンサーがいい加減だった(わたしだって同じスポンサーだったけど徹底的にしつこく攻めた)、リサーチが足りなかった、タイミングが悪かった、です。つまり本当に信頼できるスポンサーを見つけ、できればコンサルタントを雇い、あとは運が良ければ永住権のチャンスはあるということです。

お金が無くてコンサルタントを使えなかったせいで余計な苦労ばかりだったけど、こうして振り返ってみると学んだこともたくさんあるように思う。なかなか動いてくれない上司にグイグイ催促したり、膨大な募集要項を読み解いたり、読んでもわからなくてCICに直接電話したり、IELTSのために猛勉強したり、ライティングの勉強がさっそく役に立ってビジネスメールをたくさん書いたり。そして何より、全部自分でやり遂げたという自信を手に入れたのが一番の収穫でした。わたし強くなったなあ。

煩雑な手続きには手を焼いたけど、最もつらかったのは何があっても絶対に仕事を辞められないことでした。就労ビザは基本的に雇用主指定の専属契約で、ビジネス移民の場合雇用主と一緒に永住権に申し込むので辞めた時点で応募資格がなくなる。ワーホリで最初にファストフードを選んでしまったばかりに5年間この業界に囚われることになってしまいました。飲食っていうかファストフードはやっぱりカナダでもブラックで、納得いかないことばかりだった。わたしはもう昔みたいに納得いかないことを我慢したりしないけど、クビになったら帰国するしかないので黙って働いた。悔しくてよくウォークイン冷蔵庫の中で泣いたりしたな…。レストランと違ってチップが出ないので給料は最低時給きっかりのみで、副業は許されなかった。同僚は高校生と主婦ばかりでみんなすぐにネをあげて辞めていった。毎日へとへとにくたびれて油まみれでゴミ捨て場に向かうたび、あと何度これをやったら自由になれるのかと途方に暮れたよ。冷静に考えるとキツすぎるので機械のように身体だけ動かして頭では全然違うことを考えるようにした。

そんなわけで20代の半分を皿洗いやドブさらいに費やしてしまいましたが、これからは政治家と警察官以外の何にでもなれる。さて、何をしようか。今年は忙しくなりそうです。幸せになる準備は整った。chihirousagi第三章、始動!



この一大プロジェクトを通してたくさんの善意に触れました。いつも気にかけてくれた友人、くじけそうなときに温かいコメントで励ましてくれたブログ・SNSの名前も知らない仲間たち、どんなことがあっても絶対にわたしの成功を疑わずついてきてくれたセビくんに感謝します。そして、まだ何者でもないわたしを社会のメンバーに加えてくれたカナダにありがとう。