Day 4
あっという間に最終日。昨日の夜食べ切れなくて包んでもらったサンドウィッチとビールが朝食。ホテルのパソコンを借りて今日の作戦を立てる。初NYなので一応自由の女神は見ておくか。フェリーに乗るらしいとは聞いていた。お天気がいいのでちょうどいいわん。ホテルをチェックアウトしてスーツケースだけ預かってもらう。高い天井にふかふかベッド、古いけれどきちんと手入れされていていかにもNYらしい素敵なお部屋だった。ロケーションも最高。(しかしブラインドの開閉方法が不明。)
事前調査で船着場があるバッテリーパークまでは地下鉄で一本とわかっていたのだが、どうやら調べ間違えたようでホテルの最寄り駅からはお目当ての路線が出ていないようだった。iPhoneはあるけど駅にwi-fiないし、路線図もないし、駅員も見当たらないので聞き込み調査しか手段がなくなった。ていうか路線図くらい入手しておきなさいよ自分…。たしか目的地は南なのでとりあえず適当に南(Downtown行き)の電車に乗ってみる。適当に大きそうな駅でいったん降りてなるべく地元民ぽい人に話を聞いてみる。やはりみんな親切。もっともこの日は日曜日でダイヤが変則的で、ニューヨーカーも戸惑っている様子だった。電車の車内には電光案内板があるのでそれを見てから踵を返す人や、「今日は急行はないらしいで!」と教え合っている人々。駅に着いてからも「平日の○時~○時及び週末はこの出口は閉鎖」など、なかなかの不思議なダンジョンぷりである。
Bowling Green駅というところに「フェリーに乗り換え」と書いてあるのでここで下車。適当すぎ…こんなんでよく着いたな。駅を出てからはちゃんと観光地らしく看板があってそれに付いて行った。チケット売り場が混雑すると聞いたのでホテルのパソコンで事前に購入してきたのにガラガラ。なーんだ、クレジットカードの番号入力したりメールチェックしたり、かえって時間かかっちゃったじゃないの。船に乗る前に空港のような厳重なセキュリティチェック。エンパイアステートビルディングも、グラウンドゼロも、やっぱり911以降は厳しいんだな。
フェリーはあまり待たずスムースに乗れた。晴れて太陽が暖かいと思いきや、出航したとたんデッキは風がビュービュー吹いて極寒である。
マンハッタンとしばしのお別れ |
風が強くて涙が出ちゃう |
どうして船に乗るとせつない気持ちになるのだろう。こう寒くて雪が残っているとなると、これまた風情がある。無意味にシブい顔。ふるさと離れてたったひとり海を渡る…アンタだけが頼りさ。あゝカモメよカモメ、浮雲の二人は幸せになれるのかい?的なストーリーをでっちあげてウットリ。
わ!だんだん近づいてきた! |
キターーーー 自由の女神さんや! |
妄想から目を覚ますとオウ、say can you see。自由の国アメリカの象徴、Statue of Liberty! かっこいい!写真や映画でさんざん見たので今更ねえ、と若干渋々だったのだがやはり実際見るとグっとくるものがある。わけもわからずとりあえず自由サイコーと思った(名前しかわかってない笑)。ジミヘンがウッドストックで奏でたアメリカ国歌が頭の中にビリビリ流れる。
自由の女神さまがおられるスタテン島に降り立ってお散歩するだけのコースの他に、予約制の台座まで上がれるコース、そしてなんと女神さまの冠まで登れるコースまであり当然チケットの値段が少しずつ違うのだが(値段は大して変わらないのだがさすがに冠は予約が取れない)、高いところが好きなわたしは台座まで行ってみることにした。階段つらい…
超至近距離でみるとドレスのドレープとかすごく凝っていて感心。このチケットで自由の女神の歴史や、建設の過程などが見られるプチミュージアムにも入れてなかなか楽しかった。
『自由からの逃走』という本がある。みんな自由がこわくて自由から逃げているのだ。自由には責任が伴うだけでなく、人をひとりぼっちにする。だから人は自由を売り払ってでも集団に所属するほうを選ぶ。所属する集団のイデオロギーが正しいかどうかとか、所属して心地よいかどうかはもはや関係ない。(ナチズムを扱った本なのだが導入部はこう。興味ある人は是非。)わたしはさしずめ自由から逃げ出した人たちから逃げ出した格好か。
とはいえアメリカという国は自由というドラッグの副作用を知るための最適の(最悪の)実験場である。知れば知るほど病んだ国で、そこがまた魅力的でもある国だ。違う国なんだから当たり前だけどアメリカとカナダは全然違う。
というのはミュージアムで学んだお話ではなくわたしが勝手に自由という言葉から連想したお話。
すんげーかわいいバービーさん。 やはり買えばよかったか… |
地味に飛行機の時間が気になりだしたのでホテル方面に戻ることにした。なにしろ適当に来たのでまた適当で帰れるとは限らないのだ。でも適当に帰れた。ここからさらに観光するには時間が足りないし、空港に向かうには少し早いのでまたグランドセントラル駅で降りてみた。当然足が勝手に動いて例のオイスターバーに連れて行くのだが、がーーーーーーん!日曜定休!
かなしい…牡蠣で始まって牡蠣で終わるっていいじゃない、と思ったのに。4日間ほとんど100点満点に楽しかったのにここで10点マイナス。でもまたこの駅に来られただけでよかった。大好きな場所。プラス10点。ポジティーブ!またまたしつこいようだが、一年振り返ってみるとつらいことも全部あってよかったと心から思う。つ、つよがりじゃないぞ!結果オーライ。100点満点の人生、ドルチェ・ヴィータ。
あまり遠くまで行きたくなかったのでホテル周辺を散歩。どこを歩いても絵になる街。
やり残したことはもちろん山ほどある。なにげにちゃんとタイムズスクエアやブロードウェイを見てないし(バスで通りがかっただけ)、クイーンズボロ橋もブルックリン橋もどこにあるかよくわかんなくて『マンハッタン』ごっこできなかったし。
NYといえばウディ・アレンでしょ? 「実に偉大な街だ。魂を奪われてしまう」(『マンハッタン』) |
寂れまくったコニーアイランドにも行ってみたかったし、夜遊びもしてみたかったし。レナ・ダナムに偶然会いたかった!NYって、東京と同じで強く念じたら会いたい人にちゃんと会えちゃう街のような気がする。でもいいの。まだまだやりたい事が残っているほうがいい。ありがとうニューヨーク、絶対また戻ってくるからな!
【完】